“関取最年長”安美錦引退…古傷の右膝を傷めて決断

[ 2019年7月17日 05:30 ]

大相撲名古屋場所10日目 ( 2019年7月16日    ドルフィンズアリーナ )

現役引退を表明した安美錦(共同)
Photo By 共同

 関取最年長40歳の安美錦(伊勢ケ浜部屋)が足掛け23年の現役生活にピリオドを打つ。西十両11枚目の今場所は古傷の右膝を痛めて3日目から休場。次の秋場所で幕下への転落が確実となり、引退を決断した。関取在位117場所は魁皇と並んで史上1位だった。今後は年寄「安治川」を襲名し、後進を指導する見通し。優勝争いは鶴竜が逸ノ城を寄り切り無傷の10連勝、白鵬は玉鷲を突き落とし1敗を守った。

 ひょうひょうとした顔つきで稽古場に現れ、ダンベルを使った筋力トレ、てっぽうで汗を流す。安美錦は引退表明の朝もルーティンをこなした。

 「最初は治療して、もう一回と思っていたけど。今回は初めて今後のことを考えた。またケガしたら、どうするんだろうと。勝負師として一線を引く時かなと思った」

 両膝や左アキレス腱断裂など度重なるケガを乗り越えた不屈の男が、心に生じた迷いを悟った。「勝ち越しが消えて、気持ちも消えた。未練はない」。今場所2日目に負傷した右膝は、まだ25歳だった04年に同じ名古屋場所で前十字じん帯断裂など重傷を負った古傷だ。「“最後はまた、おまえにやられるのか”という感じ。いい相棒だった」。約23年間のプロ生活で、いじめ抜いた体をいたわった。ともに平成を盛り上げた魁皇、若の里も現役最後の土俵は名古屋場所。今場所初日に敗れた後に安美錦が口にした「名古屋は超えられないんだよ」の言葉が現実になった。

 力士の大型化でパワー重視の傾向が強まる中で多くのライバルから「やりにくい相手」と評される確かな技術で対抗。03年初場所8日目には横綱・貴乃花を破り、貴乃花の現役最後の相手でもあった。自身の現役最後の相手は関取最年少21歳の新十両・竜虎(りゅうこう)で「若い子に“頑張ってくれよ”という気持ちはある。バトンタッチできて良かった」とすがすがしい表情だった。

 師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)に引退を申し出たのは14日。だが、ここ2日間も稽古場で体を動かした。厳しい勝負の世界に生きる同僚力士への配慮と同時に後進の指導に当たるためのリハビリだ。「早く(稽古で)胸を出したい」。既に第二の人生へスタートを切っている。 

 ▼伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)本人がここまでやって納得していれば受け入れるしかない。ケガと向き合い、相撲を取ることを考えて筋トレで治す努力を一つ一つやってきた。誇らしい、頑張った弟子です。(安美錦の師匠)

 ◇安美錦記録メモ

 ▽通算出場 史上3位の1805回。

 ▽通算勝利 史上8位の907勝。

 ▽通算黒星 史上4位の908敗。

 ▽幕内在位 史上3位タイの97場所。

 ▽幕内出場 史上4位の1399回。

 ▽関取在位 117場所(幕内97場所、十両20場所)は魁皇と並んで史上1位タイ。

 ▽高齢再入幕 史上1位の39歳6カ月(18年夏場所番付発表時)

 ▽決まり手 初土俵から45の決まり手で勝った。「技のデパート・モンゴル支店」と呼ばれた旭鷲山の46に匹敵する多さ。

 ◆安美錦 竜児(本名=杉野森 竜児)1978年(昭53)10月3日生まれ、青森県西津軽郡深浦町出身の40歳。鰺ケ沢高卒。97年初場所初土俵。00年初場所新十両。同年名古屋場所新入幕。07年秋場所新関脇。殊勲賞4回、敢闘賞2回、技能賞6回。金星8個。得意は右四つ、寄り、押し、出し投げ。1メートル84、149キロ。家族は絵莉夫人、長女、次女、長男。

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