荒磯親方が名古屋場所展望 新小結コンビ、序盤で綱撃破期待 土つければ混戦に

[ 2019年7月7日 05:30 ]

7日初日 大相撲名古屋場所

二所ノ関一門連合稽古で大関・高安(左)を攻め込む新小結・竜電
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 7月の名古屋は独特の気候です。暑い日が続く中で、いきなり寒くなったり、雨が降って湿度が高くなったりします。暑ければ体が温まりやすいというのはありますが、気圧が変化することで、体調を崩しやすくなりがちです。私は現役時代、名古屋場所ではほとんど優勝争いに絡むような活躍はできませんでした。コンディション調整の難しさも影響していたかもしれません。

 独特の場所で優勝争いの中心になるのは、やはり両横綱でしょう。白鵬は右上腕の負傷で夏場所を全休しましたが、名古屋に入ってからはいい汗をかいていると聞きました。横綱在位は丸12年。これだけ横綱を張れるのには理由があります。ただ強いだけでなく、きっちり調整してくるうまさもあります。鶴竜も腰の痛みを訴えているようですが、しっかり合わせてくるはずです。安定感があるだけでなく、いい方向にはまった時はとんでもない力が出ます。白鵬の陰に隠れていますが、歴代10位タイの横綱在位32場所は立派な成績です。

 今場所は阿炎と竜電が新小結となり、夏場所で優勝した朝乃山が前頭筆頭まで上がってきました。3人はいずれも2日目までに横綱との対戦が組まれました。ここでどれだけ横綱を苦しめられるか。土をつけるような展開になれば、優勝争いは混戦となってくるでしょう。それだけに3人には注目しています。

 中でも成長を感じているのは竜電です。二所ノ関一門連合稽古で久しぶりに竜電を見たのですが、顔つきは自信に満ちていました。力士はふとしたタイミングで変わったなと感じることがあります。それは何ミリ、何センチの差なのですが、稽古をしていると急に腰が入ってきたりします。また、以前までは残せなかったところで残せたりもします。竜電も何かつかんだものがあるのでしょう。負けが続いたりするといろいろやりたくなりがちですが、これだと思ったことをしっかりやり続け、スタイルを変えずに行くことが大事です。

 同じく二所ノ関一門連合稽古で見た阿炎は、体の張りが非常によく見えました。稽古場ではまわしを取る相撲もありましたが、突き、押しを徹底した方がいいでしょう。相手に詰められると彼の良さがなくなってしまいます。長い手足を備えているだけに、初日の白鵬戦でも突きを徹底していけば、何かドラマが生まれる可能性はあるでしょう。

 朝乃山にとって、横綱、大関と総当たりとなる今場所が本当の闘いになります。私が横綱大関初挑戦だった05年九州場所は、横綱の朝青龍、大関の千代大海、魁皇に全敗で、5勝10敗に終わりました。やる気満々でしたが、上位は強いと思いました。その高ぶりなどにつけ込んでくるうまさがあり、それが横綱、大関なのだなあと感じました。そういう意味でも前半戦が勝負でしょう。右を差すうまさはピカイチの朝乃山ですが、技術だけでは上位には勝てません。やはり最後は馬力だと思います。根こそぎ豪栄道を持っていったような相撲が取れれば、いい成績を残せるとみています。

 昨年の名古屋場所で優勝した御嶽海、初場所を制した玉鷲が関脇にいますが、やはり期待したいのは弟弟子の高安です。場所前には腰を痛めましたが、しっかり調整してきました。5日には三番稽古で胸を合わせたのですが、久しぶりに電車道で持っていかれる相撲が何番か続きました。調子がよすぎると見落とすことも多いのですが、稽古を休まざるを得なくなって考えを見直したことがよかったのではないでしょうか。高安はどうしてもガンガンやってオーバーワークになりがちですが、ぎりぎりに仕上がったのはいい要因だと思います。

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