朝乃山 行司差し違え白星、再びトップ 14日目にも初V

[ 2019年5月25日 05:30 ]

大相撲夏場所13日目 ( 2019年5月24日    両国国技館 )

朝乃山(奥)と栃ノ心の一番。栃ノ心の右かかとが出たとして物言いがつき軍配差し違えとなった
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 平幕・朝乃山が関脇・栃ノ心を寄り切って2敗を守り、再び単独トップに立った。攻め込んだ土俵際、大関復帰を目指す栃ノ心の執念に屈したかと思いきや“微妙な判定”で行司差し違えとなり、白星が転がり込んだ。横綱・鶴竜は大関・高安に押し出されて3敗に後退。14日目に朝乃山が勝ち、鶴竜が敗れれば朝乃山の初優勝が決まる。

 国技館がどよめきに包まれた。「どこ見てんだよ!!」と怒声が飛ぶ。6分余りの長い協議の末、阿武松審判部長(元関脇・益荒雄)が告げた勝者は朝乃山だった。

 相撲内容は朝乃山が完全に上回った。頭で当たって右差し、左上手を浅く引く得意の形で一気に出る。しかし土俵際で逆転を食らう。右ですくわれ、左で頭を押さえつけられ、前のめりに倒れた。四つんばいのまましばらく動けない。「あ~、負けた」。落胆していたところで物言い。朝乃山が手をつく前に栃ノ心の右かかとが俵の外に出たのではないかという内容。映像では俵から、はみ出した右かかとはわずかに宙に浮き“セーフ”にも見える。打ち出し後に阿武松審判部長は「(映像を確認して審判団に伝える)ビデオ室も迷っているようだった。目の前で見た人を優先して判断しました」と説明。勝負が決した位置に最も近い、西の土俵下で見届け、物言いをつけた放駒審判(元関脇・玉乃島)は「足の裏が(蛇の目の)砂を連れてきたように見えた」と話した。

 微妙な判定で2敗を守った朝乃山は硬い表情のまま支度部屋へ。「負けたと思いました。前に出ようと思ったのが良かった」。春場所後の巡業では同じ右四つの栃ノ心に胸を借りて精進し、今場所の活躍につなげた。後味の悪い結末とはいえ“恩返し”できた。

 吉報は続く。結びの一番で横綱・鶴竜が敗れ、再び単独トップに浮上。14日目にも優勝が決まる。「何も考えていません」とは裏腹に、気がつけば頬は思い切り緩んでいた。

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