荒磯親方驚かせた貴景勝の急成長 1年で変わった「パーン、パーン」から「パパパパーン」

[ 2019年3月29日 09:00 ]

大関に昇進した貴景勝
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 【新時代の大関 貴景勝を語る(中)】3場所で34勝を挙げた貴景勝はその間、上位相手にも結果を出した。春場所では鶴竜から初白星を奪うなど、横綱戦は3勝1敗で、大関には4勝4敗の五分。初場所で引退した元横綱・稀勢の里の荒磯親方は「初めて闘った時から1年で、これだけ圧力が変わるのにはビックリした」と貴景勝が急激に力をつけたと感じている。

 初対戦の17年名古屋場所では脅威を感じなかった。左大胸筋などの負傷に苦しんでいたが、攻めを受けても後退しなかった。「この当たりなら大丈夫と思った」。攻めのリズムが単調で「パーン、パーン、パーン」という感じだった。「突っ張りの間に隙間があれば残せる」というように突き落としで退けた。

 対戦を重ねるたびにリズムは変わった。「後半は根こそぎ持っていかれるような、腰から浮かされるようだった」。突っ張りの間隔が狭まり「パパパパーン」になった。「常に体に触れられている感じ。嫌なところを突いてきた。気がつけば自分の下(胸のあたり)にいた」。密着しながら出られれば簡単には差せない。その取り口に苦しみ、現役時代の対戦成績は2勝3敗に終わった。「四つ相撲のような押し相撲。それぐらい安定感がある」と称賛した。

 突き上げる攻めは下半身の強さによってもたらされる。「足腰の強さというか腰力が違ってきた」。腰の強さは見た目では分かりにくいが、仕切りの際に一端が垣間見える。「最後の仕切りで手をついたとき腰をグーッと入れてくる。あれができる人はなかなかいない」。現役で似た力士はおらず、荒磯親方は「北の湖さんや双葉山はそうだった」と大横綱の名を挙げた。

 「今の相撲を続けていけば間違いない。どうなっていくか楽しみ」。平成で最後に誕生した横綱は、平成最後に誕生した大関に期待を込めた。

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2019年3月29日のニュース