法大・青木涼真、「10分の1」でも輝き際立つ“新・山の神”

[ 2018年12月29日 12:30 ]

今回も往路5区の山上りで激走が期待される法大・青木
Photo By スポニチ

 【箱根に駆ける(2)】前回大会で5区区間賞の快走を見せた新“山の神”法大・青木涼真は実にクールだ。「(山上りの)注目度は分かるが、僕は10分の1でしかない。あまり気にしないで走ります」。周囲の盛り上がりをよそに、涼しげに語った。

 第94回大会で彗星のごとく現れたのが青木だった。4区14位でたすきを受け取ると、1人、2人…。まさに神のような健脚ぶりで9人抜きを披露。コース変更後の最初の記録となる1時間11分44秒で、チームをシード権内の5位に押し上げ、一躍脚光を浴びた。チームも総合6位とジャンプアップさせた殊勲者は「動きが理想に近付いてきている。去年のような流れに乗っていると思う」と本戦に向けて感覚を研ぎ澄ませている。

 それでもやはり、神の領域に近づくには試練が付きものだ。今年の夏合宿が始まって1週間もたたないうちに左膝と左アキレス腱を痛めた。高校時代からもたびたび痛めていたという古傷だが「筋力不足がケガの原因」と分析。補強や走り方を一から見直すことで負担の少ない感覚を取り戻せた。

 チームで唯一の理系男子。生命科学部に所属し、普段は小金井キャンパスで研究に打ち込んでいる。3年の秋はチームのポイント練習と授業が重なってしまったため、1人で練習することも多くなった。チーム状況を把握しきれない部分はあるが、「メリットは融通が利くことです。箱根も結局は1人。単独走の練習は生きるはずです」と起用が濃厚な5区に向けてポジティブに捉えている。

 平たん区間を走りたい思いは常に持っているが、「僕が5区に回るのがチームのストロングポイントになるなら」と山上りを快諾。数字では表せない、熱い思いを胸に再び天下の険を攻める覚悟をのぞかせた。

 ◆青木 涼真(あおき・りょうま)1997年(平9)6月16日生まれ、埼玉県久喜市出身の21歳。鷲宮東中―春日部高。今年の関東インカレでは3000メートル障害2連覇を達成した。自己ベストは1万メートルが29分30秒64。大学では生命科学部に在籍し、趣味はゲーム、アニメ観賞。1メートル67、56キロ。

続きを表示

2018年12月29日のニュース