紀平 年明け米コロラド高地で世界選手権“金合宿”敢行!

[ 2018年12月26日 06:30 ]

<メダリスト・オン・アイス2018>美しい滑りを見せる紀平梨花(撮影・小海途 良幹)
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 フィギュアスケートの全日本選手権で2位に入り、世界選手権(3月20日開幕、さいたまスーパーアリーナ)の代表に選ばれた女子の紀平梨花(16=関大KFSC)が、1月に米国で約1週間の強化合宿を行うことが25日、分かった。10年バンクーバー五輪金メダリストのキム・ヨナ(韓国)の振り付けもかつて担当したトム・ディクソン氏(56)の元を訪れ、世界一獲りへの土台をつくり上げる。この日はエキシビション「メダリスト・オン・アイス」に出場した。

 紀平が1月に向かうのは、米国コロラド州だ。フリーの振付師で、かつてキム・ヨナらも教えたディクソン氏を訪れる。ここは、シーズン前に訪問し、ジャンプを含めて練習に明け暮れた“虎の穴”。狙いについては「体力を付けるのと、4回転もやってみようかな」と語った。

 SPの5位から巻き返して2位だった全日本選手権で、今季の前半戦が終了。後半戦に向け、滑り込むことが米合宿の大きな目的だ。リンクの使用時間が長く取れるため、ジャンプやスケーティングの強化が可能。また、陸上や競泳の合宿地としても有名なコロラドスプリングスは標高1800メートルの高地ゆえに空気が薄く、心肺的にも追い込むことができる。トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)の精度を高め、プログラムを完成形に持っていくプランだ。合宿後はいったん帰国し、2月に再び米国へ飛んで四大陸選手権に出場する。その翌月の世界選手権で、ピークに持っていく予定だ。

 将来への布石も忘れない。「リスクが大きすぎますから」と世界選手権で4回転ジャンプを跳ばないものの、来季以降を見据えて、米合宿で体に覚え込ませる。ロシアのジュニア勢は4回転ジャンプを既に武器としており、紀平も練習では4回転サルコーに成功し、トーループにも挑戦中。22年北京五輪での金メダル争いを想定して取り組む。

 通信制のN高校の1年生で、練習会場への移動の車中や、練習が休みの日にスマホを使って授業を受けている。母・実香さん(47)によると、日本一を争った今大会中も、時間を見つけてホテルで勉強をしていたという。秋以降は競技が忙しかった分、課題が山積みになっているそうで、紀平は「追われている感じなので、急いでやらないと」と、当面は学業にも力を入れる考えだ。

 練習の休みは、大みそかと元日だけ。1月2日が2019年の初練習となる。今大会悩まされたスケート靴は新調する。「ブレードの位置調整が終わっていない」という手元にある新しい一足を合わせる作業が、世界一獲りへの第一歩になる。

 ▽コロラドスプリングス 米コロラド州中南部に位置する。州都デンバーに次ぐ第2の都市。デンバーから車で約1時間ほどの距離にあり、米国オリンピック委員会やオリンピック・トレーニングセンターなど、五輪関連施設が多数ある。過去に世界選手権を5度開催するなどフィギュアスケートとの関わりも深い。

 ≪黒と紫でオトナ演出≫紀平はエキシビションで大人の演技を見せた。黒と紫を基調としたシックな装いで、バラード曲のプログラムを演じた。出番の前にあった氷上でのセレモニーでは、今大会女子優勝の坂本、3位宮原らとともに、世界選手権の抱負を口にした。ファンに向けて「日本開催をうれしく思っています。支えてくれた皆さまのために、恩返しのためにも、いい演技ができればいいなと思います」と力強く宣言した。

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