張本 最年少V王手、決勝は「この一年の全てぶつける」

[ 2018年12月16日 05:30 ]

卓球 ワールドツアー・グランドファイナル第3日 ( 2018年12月15日    韓国・仁川 )

卓球グランドファイナル 男子シングルスで決勝進出を決め、雄たけびを上げる張本
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 男子シングルス準決勝で、世界ランク5位の張本智和(15=エリートアカデミー)が、同6位のウーゴ・カルデラノ(ブラジル)を4―0で破り、初優勝に王手をかけた。16日の決勝では世界4位の林高遠(リンコウエン、中国)と対戦。15歳でグランドファイナルのタイトルを獲れば、シングルスでは男女通じて史上最年少となる。女子シングルスの石川佳純(25=全農)は準々決勝で敗退した。

 張本が完全にゾーンに入っていた。第3ゲーム、終盤での競り合いでカルデラノの動きが読める。「何が来ても“ここかな”“こうやって返そうかな”ってイメージできていた」。優勝した6月の荻村杯ジャパン・オープン以来、約6カ月ぶりの感覚。3月のカタール・オープンでは0―4で完敗したが、大舞台で4―0とお返しだ。勝利が決まると「チョレイ!」と叫び、右拳を握りしめた。

 「3つ勝つのは本当に大変。やっとここまで来られた」

 世界1位の樊振東(ハンシントウ、中国)との準決勝を想定していたが、上がってきたのはカルデラノ。準々決勝の動画を見て「樊振東選手はまともに打ち合って負けていた」と分析。今大会で一番のパワーを誇るブラジル選手にパワー勝負を挑まずにコースを重視した。第2ゲームは6―8から5連続得点で逆転するなど、「いいプレーができた」と胸を張った。

 中学を卒業する来春、エリートアカデミーを前倒しで修了し、神奈川・日大高へ進学する意思を固めている。競技と学業をより高いレベルで両立させるためだ。「前回は自分から攻めてカウンターを食らって負けた。やり方を変えれば、チャンスはあると思った」。コート内外での高い学習能力が、進化を支えている。

 グランドファイナルの日本男子の優勝は10、14年大会の水谷以来だが、今年と異なり中国勢は出場していなかった。15歳でのシングルス戴冠なら、男女通じて史上最年少記録となる。張本は荻村杯以降、優勝から遠ざかっている。「たくさん悔しい思いをした。勝てればチャラになると思う。絶対に金メダルを獲れるように、この一年の全てを決勝にぶつけたい」。数々の年少記録を更新してきた15歳が、また金字塔を打ち立てる。

 ≪張本母「凄い、凄い!」≫張本の母・凌さんはスタンドで観戦し、「凄い、凄い!前はストレートで負けていたから、よく頑張った」と称えた。今大会は息子の海外試合に初めて応援に駆けつけた。心強い味方を得て、15歳が決勝に進出。史上最年少優勝が懸かるが、「自分の今までのペースで頑張ってほしい。私はどんな結果でもいいと思っている」と母は優しいまなざしを向けていた。

 ▽グランドファイナルの最年少優勝 シングルスでは女子の郭躍(中国)が04年大会を16歳で制したのが、男女通じて最年少記録。女子ダブルスでは平野美宇、伊藤美誠の“みうみま”がともに14歳の14年に優勝している。

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