サントリー、日本選手権初の延長制す サヨナラPG決着で3連覇に王手

[ 2018年12月9日 05:30 ]

ラグビー 日本選手権兼トップリーグ 決勝トーナメント準決勝   サントリー28―25ヤマハ発動機 ( 2018年12月8日    秩父宮 )

<サントリー・ヤマハ>延長で決勝PGを決めるサントリー・ギタウ(右から4人目)(撮影・吉田 剛)
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 サントリーはヤマハ発動機に28―25で競り勝ち、3連覇に王手をかけた。試合は80分間で決着がつかず日本選手権史上初のサドンデス方式の延長戦(10分間)に突入。同5分、敵陣でペナルティーを得てSOマット・ギタウ(36)がサヨナラPGを決めた。また、神戸製鋼はトヨタ自動車に勝利し、03年度以来15季ぶりのリーグ制覇に王手。決勝は15日に東京・秩父宮ラグビー場で行われる。

 大槻主審の手が上がった瞬間、黄色のジャージーの15人はまるで勝ったかのように跳びはねた。敵陣ゴールポストまで42メートル正面の位置は、元オーストラリア代表の司令塔にとって射程圏。静寂に包まれる中、ギタウが左足できっちりとポスト中央を射抜くと、15人はもう一度跳びはねた。

 「涙は流していないです」。試合直後のテレビインタビューで目元を潤ませた沢木敬介監督は、記者会見ではあっさり否定して笑いを誘った。だが誰にとっても未知数だった延長戦について問われると「決着がつかなければキッキングコンペティション。それもシミュレーションしていた」とにやりと笑った。

 前半13―22の劣勢から後半に2トライを奪って反撃。だが一番の勝因は粘り強いディフェンスだ。後半は素早い出足、横の選手とのコミュニケーションを徹底し、トライラインを割らせず。目前で相手がノックオンする幸運もあったが、数十次攻撃を重ねるヤマハ発動機に前進を許さなかった。延長戦で相手SO清原にハイパントキックを蹴らせたもの、堅ろうな黄色の壁が立ちはだかったからこそ。SH流主将も「規律を守れば自信を持ってできるように練習している」と胸を張った。

 延長戦で反則を引き出した途中出場のフッカー中村駿は、一度当たって後退させた相手にあえて再び当たった。「(相手が)ムキになってくるだろうと思ったので。持ち味のフィジカルを生かせた」。駆け引きも駆使して接戦を制したサントリー。リーグ戦では20―36と完敗した神戸製鋼との頂上決戦へ、流は「リベンジしたい」と力強く言い切った。

 <総合順位決定トーナメントの規則(抜粋)> 前後半終了後、トライ数にかかわらず同点だった場合は下記の方法で勝敗を決定。(1)サドンデスの延長戦(10分間×1)(2)キッキングコンペティション

 【延長戦】先に得点(DG、PG、トライ)したチームが勝者

 【キッキングコンペティション】両チームとも延長戦終了時にピッチにいた選手からキッカー5人を選出。22メートルライン後方の3カ所(ゴール正面、左15メートルライン上、右15メートルライン上、ゴール正面、左15メートルライン上の順)から交互にキック。5人を終えて同点の場合、1人目から順に蹴りサドンデス方式で決定。

 《尾崎奮闘全3T》 新人WTB尾崎がチームの全3トライを奪う活躍を見せた。開始2分、4人を次々とかわして最初のトライを奪うと、後半7、30分にも追加。「(1、2本目は)ギッツ(ギタウ)がうまくパスをくれたので、ウイングとしてしっかり仕事できた」と感謝した。同期のCTB梶村らは今秋の日本代表に選出。「選ばれずに悔しかった」と話すが、守備でも高いパフォーマンスを発揮し「我慢強く対応できた」と話した。

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