貴ノ岩に断髪式を 千賀ノ浦親方の親心「最後の花道としてやってあげたい」

[ 2018年12月9日 05:30 ]

元貴ノ岩の引退から一夜明けて稽古する力士。右の背中は千賀ノ浦親方
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 大相撲の冬巡業で弟弟子の付け人に暴力を振るった責任を取って7日に引退した元幕内・貴ノ岩(28=本名アディヤ・バーサンドルジ)が来年2月に断髪式を行う方向で調整していることが分かった。

 元貴ノ岩の師匠だった千賀ノ浦親方(元小結・隆三杉)が8日、「日程は本人と話し合って決めるが、2月中旬にもできればいい。幕内で相撲を取った男だから最後の花道としてやってあげたい」と説明した。元横綱・朝青龍、元横綱・日馬富士も暴力問題により引退を余儀なくされたが、ともに両国国技館で断髪式を行っている。

 7日夜の引退会見に100人を超える報道陣が大挙した東京都台東区の千賀ノ浦部屋はこの日、訪れた報道陣は少なく、所属力士は通常通り朝稽古を行った。元貴ノ岩に暴行を振るわれた三段目の貴大将(23)も四股などの基本運動で汗を流した。引退会見後に改めて元貴ノ岩から謝罪を受けたそうで「“頑張れ、絶対辞めるな”と言ってもらった。自分は頑張っていくしかない」と相撲道にまい進する決意を口にした。

 元貴ノ岩は日本相撲協会との事務手続きなどが残っているため、当面は都内の自宅にとどまる。今後については未定だが、千賀ノ浦親方は「本人は部屋を応援できるようになりたいと言っていた」と明かした。

 日本相撲協会は元貴ノ岩の暴行問題を受けて、今後の対応策を発表した。各部屋の関取と付け人に対しては師匠が緊急指導を行い、付け人が関取の小間使いではないことなどを改めて認識させる。2月には全協会員を対象にした暴力問題の研修会を行うことを決めていたが、関取への研修は前倒し、「付け人に関する特別研修」を19日に両国国技館で実施する。

 ≪暴力研修19日に前倒し≫一連の暴力問題で、元日馬富士は引退勧告相当、貴公俊と当時三段目力士は1場所出場停止の懲戒処分とした。19日の理事会では、元貴ノ岩の事案も踏まえ、力士が暴力を振るった場合、番付に応じてどのような懲戒処分とするかについて検討し、一定の基準を定める。また、千賀ノ浦親方の監督責任についても検討し、同日に審議内容を公表する。

 ○…元貴ノ岩の弟弟子だった小結・貴景勝は、冬巡業が行われた熊本県高森町で改めて「残念としか言えない」と心境を語った。十両昇進前の貴乃花部屋時代に元貴ノ岩の付け人を務めており「相撲以外のことでも、いろんなことを学んだ」と、懐かしみながら感謝の言葉を口にした。九州場所で初優勝し、これまで以上に部屋を引っ張っていく立場となるが「自分は自分のことをするだけです」と淡々と話した。

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2018年12月9日のニュース