マラソン原被告に再び刑猶予 摂食障害の影響考慮

[ 2018年12月3日 13:24 ]

 スーパーで菓子などを万引したとして、窃盗の罪に問われた陸上の世界選手権女子マラソンの元代表選手原裕美子被告(36)に、前橋地裁太田支部は3日、懲役1年、保護観察付き執行猶予4年の判決を言い渡した。

 公判で弁護側は、現役時代から続いていた過食と嘔吐を繰り返す摂食障害に伴って大量の食品を欲し、判断力や自らの行動、衝動を制御する能力に影響していたと主張。奥山雅哉裁判官は判決で、摂食障害が一定程度影響したとした上で、原被告に完全責任能力があったと認定した。

 同種の窃盗罪で確定した有罪判決の執行猶予期間中に起こした再犯だったが、奥山裁判官は「治療は容易ではないが、継続で再犯防止に効果が期待できる。被告は治療に意欲的で、社会内での更生に向けた態勢も整っている」として執行猶予を付けた。検察側は「不安定な収入の中で大量の食品を手に入れるための犯行で、常習性も顕著だ」と指摘していた。

 原被告は閉廷後に記者会見。「今後しっかりと治療し、同じように苦しんでいる方に少しでも勇気を与えられるよう生きていきたい」と涙で声を詰まらせながら話した。

 判決によると、2月9日夜、群馬県太田市内のスーパーで袋詰めのキャンディーなど3点(販売価格計382円)を盗んだ。

 原被告は世界選手権に2度出場し、2005年のヘルシンキ大会では6位入賞の実績を持つ。昨年7月に栃木県内のコンビニで起こした万引の窃盗罪で宇都宮地裁足利支部が昨年11月に懲役1年、執行猶予3年の有罪を言い渡し、確定した。(共同)

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2018年12月3日のニュース