ジョセフJ 悔し逆転負けもイングランド苦しめた!指揮官手応え「戦える」

[ 2018年11月19日 05:30 ]

リポビタンDツアー2018第1戦   日本15-35イングランド ( 2018年11月17日    英トゥイッケナム )

<日本・イングランド>ノーウェル(中央)を2人がかりのタックルで止める坂手(下)と具(撮影・吉田 剛)
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 世界ランキング11位の日本は同4位のイングランドに15―35で逆転負けした。前半はCTB中村亮土(27=サントリー)とフランカーのリーチ・マイケル主将(30=東芝)がトライを挙げ、15―10で折り返す健闘。後半は無得点に抑えられたものの、エディー・ジョーンズ前ヘッドコーチ(HC、58)が率いるラグビーの母国に冷や汗をかかせた。日本代表は一夜明けた18日、24日のロシア戦に向け合宿を行うイングランド西部のチェルトナムへ移動した。

 知将を欺き、慌てさせた。7日の英国入り後、大幅な取材規制を敷いて対策を講じてきた日本。その答えがジョーンズ氏が叩き込んだキックを使わずボールの保持にこだわる「ジャパンウエー」の進化版であり、前半の2トライだった。

 敵将は戦前、「日本のキックは世界最高だ」と警戒。逆手に取って生まれたのが、前半31分のトライだ。CTBラファエレとWTB福岡が左サイドを切り裂いた後、右へ振ってWTB山田が相手につかまれながらもリーチへ山なりのパス。15年までの4年間、誰よりもエディーと濃密な時間を過ごした主将は、30メートルで4人を蹴散らしフィニッシュした。

 福岡は「結果的に相手はディフェンスラインがしっかり上がることができず、外までボールを動かせた」と振り返る。裏キックを警戒する隙にパスを大外へ回してゲイン。前体制下では許されなかった飛ばしやオフロード(捕らわれながらの)パスも的確に使うことで、効率良く前進してトライにつなげた。

 特化して練習を積んだブレークダウン(密集でのボール争奪戦)でも、31―69と大敗した3日のニュージーランド戦から大幅に修正。低さとサポートの速さを徹底したことが、前半のスコアにつながった。「がっかり。勝てた試合に負けた」と話したリーチも「(密集戦が)一番成長した。まだまだ良くなる」と表情は明るかった。

 「寺に行って祈れ」などとの発言で仕掛けられた舌戦には付き合わず、黙々と準備をしてきたジェイミー・ジョセフHCも「(選手に)1週間“アマ対プロの戦いになる”と言ってきたが、そういう(レベル差の)試合でも戦えるようになった」とうなずいた。だが、後半はイングランドを前に沈黙したのも事実。不用意なキックと反則が増え後半は25失点を喫した。相手を本気にさせたからこそ、得た手応えと課題。指揮官は前任者から巣立った選手たちを率い、W杯へと猛進する。

 《中村、チーム初トライ》エディー体制下の13年5月に初キャップを獲得も、15年W杯代表は落選した中村がチーム初トライを挙げた。前半22分のゴール前スクラムでSH田中からフラットパスをもらうと、力強くディフェンス2人の間を突破しトライ。キャッチとともに左へ小さくステップする小技が効いた。「スクラムが良かった。FWのトライという感じ」と謙遜も、攻守で体を張り80分間ファイト。「まだエディーさんは認めてくれない。(でも)敵としては見てくれると思う」と自身の成長に手応えを得ていた。

 《聖地8万人集結 応援歌の大合唱》トゥイッケナム競技場は8万1151人の観客で埋め尽くされた。日本にとって聖地での試合は、1986年10月以来で32年ぶり。当時はイングランド側がテストマッチとして認定しなかったが、今回はテストマッチとして行われた。試合前は国歌、チャンス時は応援歌「スイング・ロー・スイート・チャリオット」の大合唱でイングランドを後押し。日本にとっては脅威だったが、リーチは「初めての体験で楽しかった」。福岡も「日本でも、あのくらいたくさんの人に声援をもらってプレーしたい」と目を輝かせた。

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