小結・貴景勝 単独首位ターン 若花田以来25年ぶり 

[ 2018年11月19日 05:30 ]

大相撲九州場所8日目 ( 2018年11月18日    福岡国際センター )

引き落としで妙義龍を破る貴景勝(左)
Photo By 共同

 22歳の貴景勝が小結として93年春場所の若花田以来、25年ぶりに中日を単独首位で折り返した。まわしの結び目が緩くて取組中に外れる危険性があったため、仕切り途中に呼び出し2人がまわしを締め直す珍事もあった中、あっさりと妙義龍を沈めて連敗を阻止した。92年秋場所でも小結だった貴花田が中日を単独首位でターンして優勝。元師匠の背中を追い、残り7日間を戦う。

 2度目の仕切り後、塩を取るため赤房下に戻った時だ。審判に促された呼び出しが土俵に上がり、貴景勝のまわしの結び目を一度ほどいた。普段は力士2人で締めるだけに水分を含んでガチガチに固めた締め込みを呼び出し1人で結ぶことができない。始めて40秒すぎにもう1人の呼び出しが加わり、25秒後ようやく結び終えた。

 1分に及ぶ中断後、一度仕切っての立ち合い。作業中に何度もチラ見していた妙義龍には強烈な張り手を食らったが、反応良く引き落とした。ただ、「気持ち」を大事にする力士だけに、珍事で集中力が乱れて「弱い自分が出た」と猛省。内容にも「0点。最悪。今場所で一番ダメ」と厳しかった。

 小学4年の時、東京都中野区にあった貴乃花部屋で相撲教室に参加。元貴乃花親方への質問コーナーになり、「武蔵丸、曙とやる時、どう挑んでましたか?」と精神面について尋ねた。想定した回答は「絶対に負けない気持ちでいく」など分かりやすいものだったが、平成の大横綱は「四股を淡々と踏めば勝てる」と回答。当時は全く理解できなかった。

 プロ入りして番付を駆け上がり、15日間ベストパフォーマンスで戦い抜くためのメンタルを追求。そして、頭の片隅に残る当時の言葉が「最近分かってきた」という。答えは「自分とどう向き合うか」。この日の土俵で自分が未熟であると知らされ「いい勉強になりました」と言った。その元師匠は小結時代に首位ターンした92年秋場所に優勝。四股を淡々と…初心に帰った22歳が、勝負の後半に挑む。

 《阿武咲&大栄翔 2敗で首位陥落》阿武咲と大栄翔が、ともに痛い2敗目を喫して首位から陥落した。阿武咲は、仕切り線から距離を取った明生の策にはまった。微妙に当たりをずらされて、立ち合いで右の突きがすっぽ抜けて、体が伸びたところを差し込まれた。「前に詰めたつもりだったけど、自分より(相手が)完全に低かった。また、明日っす」と再進撃を誓った。また大栄翔は得意の突っ張りが不発。隠岐の海に寄り切られ「落ち込んでも仕方がない」と前を向いた。

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