空手世界選手権、日本勢目標及ばず金2個…迫る海外勢 強化の課題どこに

[ 2018年11月15日 10:00 ]

空手世界選手権で組手女子50キロ級を制し、凱旋帰国した宮原美穂(中段右から2人目)。中段右端は女子組手で銀メダルだった清水希容
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 2年後、あの屈辱があったからと笑うのか。それとも、予兆はあったと後悔するのか。

 空手の世界選手権(マドリード)で日本勢は個人戦で2つの金メダルを獲得した。追加種目として実施される20年東京五輪前、最後の世界選手権。2年後にはずみを付ける結果を求めて彼の地へ出発した選手団だったが、今回は全日本空手道連盟(全空連)にとっても衝撃的な結果となった。

 個人戦は男女の組手各5階級と形の全12種目が実施されたが、金メダルを獲得したのは男子形の喜友名諒(劉衛流龍鳳会)と女子組手50キロ級の宮原美穂(帝京大)の2人。五輪で実施される8種目(組手男女各3階級、男女形)のうち、金メダル5つ獲得を目標に掲げていた日本代表の林晃監督も「非常に厳しい結果だった。負けに等しい」と険しい表情で振り返った。

 日本に突き付けられた厳しい結果は、五輪効果による世界的な競技レベルの向上の裏返しだろう。沖縄発祥の武道でお家芸意識の高い日本の選手はもちろん、長年競技に打ち込み、突如として五輪への道が開けた海外の空手家にとっても、これ以上モチベーションが上がる出来事はない。林監督によれば、組手10階級は全て違う国籍の選手が優勝し、しかも全員が初優勝だったという。もはや一部の国だけが熱心に強化に励む競技ではなくなったということだ。

 全空連でも日本オリンピック委員会(JOC)などから入る強化費が増強され、ここ数年は選手の国際大会派遣や若い世代の強化に力を注いできた。10月に行われたプレミアリーグ東京大会では、いわゆる各階級のトップ選手を追い掛ける2番手、3番手の選手が結果を残す事例があった。その意味では決して強化に手をこまねいていたわけではない。

 一方で林監督も総括の中で語ったように、新たな課題も次々と浮かび上がっている。例えば強化選手の指導体制。「日ごろの練習はバラバラ。(代表の)担当コーチと密接な連携を取るという意味では不足だった」とし、選手の所属チームの指導者と代表の担当コーチのコミュニケーション不足を指摘した。普段指導を受けるコーチと、大会時に指導を受ける代表の担当コーチが180度異なることを言ったら、選手は戸惑うに違いない。日本代表の強化方針、所属チームの強化方針と、選手の特徴や個性。これらの方向性をまとめ、相乗効果を生む体制をつくらなければ、東京五輪での金メダルはおぼつかない。正解は一つではないかも知れないが、他競技の常識が当てはまらない現状では、細部まで点検していく必要がある。

 ルール上は寸止めの組手では、以前は反則になるほどのコンタクトを伴う突きが、今大会ではポイントとして認められることが多かったという。来年からは形に採点制度が導入され、組手女子の試合時間は2分から3分に延長される。かなりドラスティックなルール変更と言えるが、迅速に対応、対策しなければ、世界の背中は一気に遠のく。

 果たして、どれだけの人が危機感を持って、残りの1年8カ月を過ごせるか。岐路に立った空手界の今後に注目したい。(阿部 令)

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