内村航平、中国製器具に「体操の幅を器具に狭められてもなあ」東京五輪で使用も

[ 2018年11月12日 13:57 ]

練習を公開した内村(撮影・尾崎 有希)
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 体操男子の内村航平(リンガーハット)が12日、東京都北区の味の素ナショナルトレーニングセンターで取材に応じた。

 今月3日に閉幕した世界選手権(カタール)で使用され、20年東京五輪でも使われる可能性がある中国メーカー「泰山(タイシャン)」の器具に対し、世界から批判が噴出していることが11日に判明。特に床と跳馬に対し、各国の選手や指導者から否定的な声が上がっている。

 内村は右足首を痛めていた影響で、世界選手権は床と跳馬を除く4種目で演技。ただ、床と跳馬についても9月25日に故障するまでは、「泰山」の器具で練習を続けていた。08年北京五輪から日の丸を背負い続けるキングは、これまで様々な器具に対応してきており、「そこまで(泰山に)合わないというのはなかった」とする一方で、「まあやりづらい。やってて気持ち良くない」と振り返った。

 床については「蹴ったら0コンマ何秒か(跳ね返りが)遅い。日本人は体重が軽いので、跳ね返るところまでいかない」とし、跳馬については「弾力がない。ボフって感じ」と言う。「別にこれのせいではないけど」としながら、右足首を痛めたのも跳馬の練習での着地で、「やっぱり危ない」と話した。

 白井健三は世界選手権で、「シライ3(伸身リ・ジョンソン)」を外さざるを得なかった。「健三みたいに世界で1人しかできない技をやっている選手からすると、まあありえない。今まで自分が普通にやってきた技が、世界で一番見せたいのにできないっていうつらさは、アイツが一番思っていることだと思う」と内村は後輩の心境に思いをはせた。

 最高の舞台で最高のパフォーマンスを見せたいのは、選手として当然の希望だ。「泰山」は器具を改良する方針を示している。東京五輪の器具は「泰山」か、日本の「セノー」と欧州メーカーが共同提供するプランの“一騎打ち”となっており、年内には五輪組織委員会が決定。「体操の幅を器具で狭められてもなあ。もうちょっとやりやすい器具にして、技とかももうちょっと広がるようにすればいいと思う」。体操界の頂点に君臨してきたキングの言葉が、重く響いた。

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