額賀 13年目の逆転初優勝「長かった」“適当”プレーが奏功

[ 2018年11月12日 05:30 ]

男子ゴルフツアー 三井住友VISA太平洋マスターズ最終日 ( 2018年11月11日    静岡県 太平洋C御殿場C=7262ヤード、パー70 )

三井住友VISA太平洋マスターズ最終日 ツアー初優勝の額賀はカップを手に笑顔(撮影・沢田 明徳)
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 プロ13年目、賞金ランク92位の額賀辰徳(34=フリー)が逆転でツアー初優勝を果たした。3打差の3位から出て、1イーグル、4バーディー、2ボギーの66をマーク。上位陣が終盤にスコアを落とす中、18番のバーディーで逆転した。悪天候の影響で54ホールに短縮されたため優勝賞金は25%減の3000万円。松山英樹(26=LEXUS)は通算4オーバーで46位に終わった。

 首位を走っていた秋吉が終盤に崩れ、アテスト場で待つ額賀に吉報が舞い込んだ。ゲーム仲間の重永から祝福のシャワーを浴びせられた34歳は「長かった。もやもやが全部なくなった感じです」と吹っ切れたように話した。

 過去の優勝争いでは緊張から崩れていたが、自分でも不思議なほど冷静になれた。「今日は肝が据わっていた」。3番でグリーン左約30ヤードからチップインイーグルを奪うと、510ヤードの6番パー4では2打目を3・5メートルにつけて60選手中、唯一のバーディー。上位陣が伸び悩む中、インでも3つスコアを伸ばして、頂点に立った。

 過去に4度もドライビングディスタンス(平均飛距離)で1位に輝いた日本屈指の飛ばし屋。今季も306・5ヤードでランク1位につけている。これまではなかなか持ち味を生かせず「このまま勝てないのでは…」と葛藤が続いた。自分を見失っていたが、5日に知人との会話からヒントを得た。「“適当”は、漢字だけみると、その場その場に適したことをやるという解釈もある。その言葉を胸にプレーした」。練習ラウンドでは兄貴分と慕う宮里優作や松山英樹にアドバイスを求め練習方法を見直した。無心でパットが打てるよう、反復練習を取り入れるなどの努力が無欲の勝利を呼んだ。

 賞金ランク92位の大金星。今季の獲得賞金は約3671万円となり22位にジャンプアップし、3年ぶりの賞金シードもほぼ確定させた。苦節13年、ツアー通算166試合目での初優勝。「まだまだ上を目指したい」と話す表情は、これまでより自信に満ちあふれていた。

 ≪夫の勇姿に妻ホッ「苦労見てきた」≫妻の友美さん(35)は、長男・智也くん(8)、次男・大雅くん(3)とともに夫の勇姿を見守った。「まさか、と思って見ていました。ずっと“飛ぶだけだ”と言われて苦労しているのを見てきたので、ホッとしています」。中央学院大の同級生で、それぞれ男女ゴルフ部の主将を務めていた縁で08年に結婚。最近2人で「QTは受けたくないね」という話をしていたそうで、「本当によかったです」と笑顔だった。

 【額賀 辰徳(ぬかが・たつのり)】

 ☆生まれ 1984年(昭59)3月28日生まれ、茨城県出身の34歳。

 ☆サイズ 1メートル83、80キロ。

 ☆ゴルフ 中学までは鹿島ファンのサッカー少年だったが、14歳でゴルフを始めた。中央学院大2年時の04年に出場した日本オープンでローアマを獲得。06年にプロ転向した。

 ☆名前 プロ野球の巨人監督に復帰した原辰徳氏が由来ではないが、「原さんのことは好き。監督に復帰されて、巨人戦を見るのが楽しみになった」。

 ☆記念日 覚えやすい日ということで、08年8月8日に友美さんと結婚。ツアー初優勝も11月11日の“ぞろ目”となった。

 【勝者のクラブ】▼1W=ピン・G400LST(10度、45インチ、TXシャフト)▼3W=テーラーメイド・M2(15度)▼2U=スリクソン・Z―U45(アイアン型)▼4I〜PW=ピン・i210▼ウエッジ=ピン・グライドフォージド(52、56、60度)▼パター=ピン・PLDアンサー2▼ボール=タイトリスト・プロV1X

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