貴景勝 鼻血何の“貴魂”で稀勢撃破、移籍後初土俵で番狂わせ

[ 2018年11月12日 05:30 ]

大相撲九州場所初日 ( 2018年11月11日    福岡国際センター )

大相撲九州場所初日 稀勢の里(手前)をはたき込みで破る貴景勝(撮影・岡田 丈靖)
Photo By スポニチ

 消えぬ貴魂――。結びの一番で、小結・貴景勝(22=千賀ノ浦部屋)が横綱・稀勢の里(32=田子ノ浦部屋)をはたき込み、移籍後初日に番狂わせを起こした。立ち合いで張り手を食らい、鼻血が噴き出ながらも、真っ向勝負で横綱を撃破。旧貴乃花部屋から移籍して初めて臨んだ本場所でも、師匠であった元貴乃花親方(元横綱)ばりの闘志あふれる姿で勝利を呼び込んだ。

 こん身の一撃がドンピシャで決まった。稀勢の里の張り手を食らった立ち合いで紅潮し、一瞬で闘志に火が付いた貴景勝は、突き押しと強烈な喉輪で猛進を食い止めた。負けられない横綱が圧力を強めても横へと動きながら対抗し、ヒートアップする中、不意打ちの高速左フックが背中を捉えてバタンと土俵にはわせた。

 「夢中でいきました。立ち合いで張られたんで、気持ちで負けないようにいった。ヘタレみたいな相撲にならないように、負けても積極的な相撲を取ろうと思った」

 9月の秋場所後、師匠の元貴乃花親方の退職に伴い千賀ノ浦部屋に移籍した。初日の朝稽古後は「初めて番付に載ったのが九州場所。プロの土俵で相撲を取るんだ」と感慨にふけった。4年前、無我夢中で序ノ口初白星を手にした当時を思い出し、「その気持ちを忘れずにやっていきたい」と初心に帰った。

 場所前、旧貴乃花部屋があった田川市で、元貴乃花親方と再会。「しっかり稽古しろ」と激励された。旧同門の力士に加え、幕内・隆の勝ら稽古相手が増えた。秋巡業に参加したため、本格合流は2週間前だが「稽古も積めたし、準備できた」と戸惑いなく初日を迎えた。

 これで稀勢の里とは3勝2敗。周囲の不安も吹き飛んだはずだ。新生・千賀ノ浦部屋の船出を豪快に飾り、「スタートとしては良かった。(貴乃花親方に)教えてもらったこと、また新たに(千賀ノ浦親方=元小結・隆三杉に)教えてもらったことを実践するだけです」と言い切った。

 ▼花田光司氏(元貴乃花親方)今の師匠の隆三杉(現千賀ノ浦親方)ばりの押し相撲の取り口が出ててよし。これに徹していくことの意志がよく出ている一番でした。初日が終わり、残り1分の14を体力とともに気力でカバーして整えていくことでしょう。端正な攻め方の取り口で二歩、三歩と土俵の中を縦横無尽に押し込めば後半戦楽しみな材料が増えるでしょう。冷静さと気概を持って挑めば結果はおのずとついてくることでしょう。

続きを表示

この記事のフォト

2018年11月12日のニュース