紀平“代名詞”3A2本成功!真央超え日本初シニアGPデビュー戦V

[ 2018年11月11日 05:30 ]

フィギュアスケートGPシリーズ第4戦・NHK杯第2日 ( 2018年11月10日    広島県立総合体育館 )

<フィギュアNHK杯第2日>笑顔で並ぶ(左から)宮原知子、紀平梨花、トゥクタミシェワ(撮影・小海途 良幹)
Photo By スポニチ

 女子フリーは、紀平梨花(16=関大KFSC)が2度のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を成功させる完璧な演技で154・72点をマーク。合計224・31点としショートプログラム(SP)5位から大逆転で、初優勝した。シニアのグランプリ(GP)シリーズデビュー戦Vは日本選手初の快挙。宮原知子(20=関大)は合計219・47点で2位に入り、GPファイナル(12月6日開幕、カナダ・バンクーバー)出場を決めた。

 14歳で初めて成功させたトリプルアクセルの申し子、紀平が衝撃の演技を披露した。ジャンプだけでなく、ステップもスピンも取りこぼしのない、完璧な4分間。「ガッツポーズをせずにいられなかった」。フリーも合計点も、自己ベストを出し、逆転優勝を果たした。

 「ほぼ最高の演技ができて、まだ信じられなくて。あれだけ心からうれしいと思える演技は初めてです」

 SPで転倒した大技を、一夜で立て直した。「良かった時と悪かった時の映像を見比べた」と修正点を洗い出した。練習から心がけたのは(1)跳ぶ前の構えを低くしない(2)回数を跳びすぎない(3)踏み切りが合わなければ跳ばない、の3点。技術だけでなく「絶対やってやるという思いだった」という心の隠し味も忘れなかった。

 連続ジャンプも、単発も、最大の武器で高い出来栄え点を引き出した。映像をチェックさせた浜田美栄コーチは「素直。スッと心に入る子なので」と指示通り滑った16歳の教え子を称えた。合計224・31点は、新ルールとなった今季の世界2位。技術点87・17点を今大会で上回ったのは、男子Vの宇野(94・18点)だけ。女子レベルを超越した美しいジャンプだった。

 伊藤みどり、浅田真央と続くトリプルアクセルの系譜を受け継ぐ。2人の動画を見た回数は数え切れない。「伊藤みどりさんのあの高さはマネしてもできない。真央ちゃんはタイミングが参考になります」。かつて観客席から手紙とプレゼントを投げ入れたことがある、浅田ファンだった。その憧れの存在もできなかったシニアGPデビュー戦V。次の目標はバンクーバー五輪で浅田が銀メダルを獲得した時と同じ、SP、フリー合わせて3本のトリプルアクセル成功だ。

 次戦は23日からのフランス杯。偉業の余韻に浸ることなく「どこを直せば点が伸びるのか研究して、もっと上を目指したい」と、気を引き締めた。来季には4回転トーループを投入予定。22年北京五輪の星の伸びしろは、計り知れない。 (倉世古 洋平)

 ▽主な日本勢のGP初戦 女子では荒川静香=96年NHK杯7位、安藤美姫=04年スケートアメリカ3位、浅田真央=05年中国杯2位。男子では、高橋大輔=02年NHK杯8位、羽生結弦=10年NHK杯4位、宇野昌磨=15年スケートアメリカ2位。

続きを表示

この記事のフォト

2018年11月11日のニュース