紀平 GPデビュー戦は成長示した5位発進 3A転倒もフリーで決める!

[ 2018年11月10日 05:30 ]

フィギュアスケートGPシリーズ第4戦・NHK杯第1日 ( 2018年11月9日    広島県立総合体育館 )

<フィギュアNHK杯第1日>女子SPの演技をする紀平梨花(撮影・小海途 良幹)
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 グランプリ(GP)シリーズデビュー戦の紀平梨花(16=関大KFSC)は、女子ショートプログラム(SP)で69・59点を出して5位発進した。トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)の失敗が響いたが、その後のジャンプをきれいにまとめた。宮原知子(20=関大)は自己ベストの76・08点を出し、首位エリザベータ・トゥクタミシェワ(21=ロシア)と0・09点差の2位。男子SPは宇野昌磨(20=トヨタ自動車)が92・49点で首位発進した。

 紀平の演技後のしかめっ面は、最初に跳ぶ代名詞のトリプルアクセルで転倒したからだった。「朝の練習から少しゆがんだジャンプが多かった。それが気になって本番に出ていた」。踏み切りが「いつもより早かった」と派手に尻もちをついた。

 ジュニア時代は1度の失敗でよく崩れた。しかし、今回は違った。フリップ―トーループの連続3回転ジャンプと、3回転ルッツに成功。ここで加点を多く引き出し、69・59点の5位に付けた。「望んだ点ではなく悔しい」と言いつつも、「いつもなら焦ったけど、成長したと思う」と挽回に胸を張る。会場の雰囲気もつかめたようで「ジュニアより凄くお客さんが入って、滑って楽しいと初めて感じた」と、16歳はGPデビュー戦を満喫する余裕も口にした。

 伊藤みどりさん、浅田真央さんらに続く日本女子4人目のトリプルアクセルジャンパー。成功例が少ない大技だけでなく、ジュニア時代の16年にフリーで3回転ジャンプを6種類8本成功させるという女子初の偉業を達成している。まさに“ジャンプの申し子”だ。

 幼少時から運動神経に恵まれていた。父・勝己さん(51)は小学校時代をこう振り返る。「5年生までは徒競走で男子より速かったです。リレーだと、男子ばかりの中で、アンカーをしていました」。足の速さを生むバネがジャンプにつながっている。

 首位トゥクタミシェワとは6・58点差開いたが、フリーではトリプルアクセルを2度跳ぶ。SPの演技直後から「トリプルアクセルのことばかり考えていた」と成功への強い思いを持つ。日本女子初のGPデビュー戦Vを、まだ諦めていない。 (倉世古 洋平)

 ◆紀平 梨花(きひら・りか)2002年(平14)7月21日生まれ、兵庫県西宮市出身の16歳。通信制のN高1年。5歳からスケートを始める。16年ジュニアGPスロベニア大会で、全6種類、8つの3回転ジャンプに成功。昨年12月のジュニアGPファイナルでは、トリプルアクセル―3回転トーループの連続ジャンプを決めた。ともにISU公認大会では女子初。昨年の全日本選手権はジュニアながら3位に入った。宮原知子らを指導する浜田美栄コーチに師事し、現在の練習拠点は関大。1メートル54。

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