内村 疑念の銀 キングに募るモヤモヤ 日本選手の採点厳しい?

[ 2018年11月5日 05:30 ]

世界体操選手権最終日 ( 2018年11月3日    カタール・ドーハ )

鉄棒で完ぺきな演技を披露し、笑顔を見せた内村だったが…
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 内村航平(29=リンガーハット)が、今大会の採点傾向に疑問を投げかけた。種目別決勝の鉄棒で完璧な演技を披露し、14・800点で銀メダルを獲得したものの、出来栄えを示すEスコアの低さに納得できず。07年大会以来、11年ぶりに金メダル0に終わった体操ニッポンが、岐路に立たされた。

 笑えばいいのか、怒ればいいのか。浮かべる表情を決めかねた内村が、取材エリアに姿を見せた。「審判に文句を言うわけじゃないけど」と前置きした上で、「日本選手に凄く厳しく(点が)付けられている傾向があった」と続けた。なぜなのか。キングは「それは日本が強いから。求められるものが大きすぎて、審判が求めているものにいけていない」と分析した。

 予選で額をバーにぶつけた屈身コバチなど離れ技を次々に決め、9月末に故障した右足首の痛みに耐えて着地も完璧。ゾンダーランドの15・100点には及ばなくても、15点か14・900点の手応えはあった。だが、スコアは14・800点。特に出来栄えを示すEスコアの8・400点に納得できなかった。「(メダルの)色もこれでいいけど、なんだかなぁ、点数が」と振り返った。

 白井の床運動の得点についても「納得できない」と内村が言うほど厳しい採点に加え、ライバルの急成長も肌で感じた。出場を断念した個人総合では、ロシア、中国勢が異次元の争いを展開し、萱と白井は割って入れなかった。「仮に僕が出ていても、今回は勝てていない。ロシアと中国の勢いはすさまじい。なかなか個人総合も厳しくなってきた」。偽らざる本音が漏れた。

 日本が金メダル0に終わるのは07年大会以来、11年ぶり。「金が1個もなかったので、東京五輪を見据えると、体操で金がないのは他の競技にも影響が出る」。日本のお家芸という自負があるからこその危機感だ。「いろんなことを徹底的に磨いていかないと」。審判とのギャップを埋め、ライバルを逆転して東京五輪へ。復権を期す体操ニッポンの先頭にはもちろん、キングがいる。

 《帰国後は「ゆっくり休みたい」》内村は右足首を痛めていることもあり、帰国後は休養する。「ゆっくり休みたい。ギリギリの状態でこれだけ演技したのは初めてなので」。23日の新設国内大会・個人総合スーパーファイナル(群馬)、12月の豊田国際(愛知)に出場しないため今季の実戦は終了。今年は1月にオーストラリア合宿を行ったが、来年は実施せず国内でトレーニングに励む。

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