香妻陣一朗が10位浮上 姉・琴乃のエールに発奮「久しぶりにいい感触」

[ 2018年10月26日 19:59 ]

男子ゴルフ マイナビABCチャンピオンシップ第2日 ( 2018年10月26日    兵庫県加東市 ABCゴルフ倶楽部=7217ヤード、パー72 )

パター練習場で弟・陣一朗のパットを見詰める香妻琴乃(撮影・井垣 忠夫)
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 プロ7年目の香妻陣一朗(24)が女子プロゴルファーの姉・琴乃(26=サマンサタバサ)の援軍を得て67の好スコアをマーク。通算5アンダーまでスコアを伸ばし、前日の39位から10位まで一気に順位を上げた。同じく67で回ったプロ12年目の木下裕太(32)が通算11アンダーで自身初体験の首位に浮上。08年大会の覇者・石川遼(27=CASIO)は通算2アンダーの28位で決勝ラウンドに進んだ。

 9月のマンシングウェア東海クラシックで涙のツアー初優勝を飾った姉がロープの外から見守っている。同組でともにロープ内を歩くのは故郷の鹿児島で兄弟のようにして育った兄貴分、出水田。ここ5戦で予選落ち4度と不振にあえいでいた香妻に笑顔が戻った。

 「久しぶりにいい感触。ずっとゴルフのことばっか考えてやってたんですけど、そういうのも考えずに済んだのかなあ」。ジュニア時代のように他愛もない話をしながら後半の6番パー5ではグリーン左バンカーからの第3打をOKに寄せるなどこの日6個のバーディーを奪い、気がつけば約3カ月半ぶりの60台をマークしていた。

 平均パット数1位(1・7210)の数字を残しながら賞金ランクは69位。3年連続のシード当確にはなお400万円が必要な苦しい位置にいる。ブルペンピッチャーのように朝の練習場ではできていることが、コースに出ると同時にできなくなる。「試合になると変なイメージが出てくるんです。左に行きたくないなあと思っていると右へ行くみたいな。技術的には大丈夫だと思うんですけど、あとは自信が持てるかどうか。久々なんで楽しみっす」8月のKBCオーガスタで出水田がツアー初優勝し、その3週後には姉・琴乃にも待望の歓喜の瞬間が訪れた。発奮材料には事欠かない終盤戦に絶好のチャンスが巡ってきた。

 11月9日開幕の伊藤園レディースからツアーに復帰する姉・琴乃は課題のグリーン上に光明を見出そうと弟の応援も兼ねて来場。スタート前の練習からパット部門1位の弟の一挙手一投足に目を凝らした。その上で「ドライバーの調子が悪いと言ってましたけどここはほとんどドライバーを使わなくていいみたいだし、私にはそんなに悪いとは思えませんでした。私自身そうでしたけど、同期が優勝するのに勝てない時期もありました。弟には弟のタイミングがあります。自分のリズム、自分のペース、それだけ考えてプレーしてほしい」と愛情たっぷりのエールを送った。

 「姉が勝ったからっていうのはそんなにないんですけど、親も凄く喜んでたし、ボクもうれしかったんで泣いてしまいました。ボクも優勝して親を喜ばせることができたらなと思います」銀行を退職して2人が進学した宮崎の高校の職員をしながらすぐ傍で支えてくれた父・尚樹さんと実家のある鹿児島で2人の名前を取った飲食店「琴陣縁」を切り盛りしながら試合の遠征費を捻出してくれた母・かおりさん。中嶋常幸・恵利華、宮里聖志・優作・藍に続く兄妹V。姉と父が観戦するこの大会をその大きな夢への足掛かりにしたい。

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2018年10月26日のニュース