川井梨 涙の2大会連続金!パワハラ、ア大会敗戦乗り越えた

[ 2018年10月25日 05:30 ]

レスリング世界選手権第4日 ( 2018年10月23日    ハンガリー・ブダペスト )

世界レスリング第4日 女子59キロ級で優勝し、日の丸を掲げる川井梨(上)
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 女子59キロ級決勝で、リオ五輪63キロ級金メダルの川井梨紗子(23=ジャパンビバレッジ)が、昨年の60キロ級に続く連覇を達成した。決勝では今年の欧州選手権を制したエリフジャレ・エシリルマク(32=トルコ)に8―0で快勝。世界女王として伊調馨(34=ALSOK)と対戦の可能性もある12月の全日本選手権に臨む。55キロ級決勝では向田真優(21=至学館大)がテクニカルフォール勝ちを収め、2年ぶり2度目の頂点に立った。59キロ級と55キロ級は非五輪階級。

 表彰式で日の丸を見つめると、万感の思いが涙となってあふれた。「この1年でいろいろあった」。恩師によるパワハラ問題があり、自らは8月のアジア大会で約3年ぶりに敗れた。苦境を乗り越えてつかんだ2大会連続の金メダルだった。

 今夏から女子ではなじみの薄い筋力トレーニングに着手し、山梨学院大や自衛隊への出稽古で男子ともスパーをこなしてきた。探究心を失わずに上達の道を求めるのは「全てが東京五輪につながればいい」との思いが根底にあるからだ。

 失意のアジア大会後は、16年リオ五輪で4連覇を逃すなど同じような経験を持つ吉田沙保里から「落ち込んでも状況は変わらない。時間がもったいないだけ」と励まされて奮起。自分を破って金メダルを獲ったモンゴル人選手からドーピングの陽性反応が出ても「負けたことに変わりない」と慰めにはせず練習で追い込んできた。

 決勝では欧州女王を巧みな崩しから持ち上げてマットに叩きつけた。「後手に回ったところがあった。相手の気迫に押された」と自己評価は厳しいが「試合に対する怖さ」を語っていた大会前の姿はすっかり消えた。結果は8―0の圧勝。4試合で1ポイントも失わずに頂点に立った。

 同じ階級で背中を追いかけてきた伊調馨が今大会前に実戦復帰し、12月の全日本選手権では五輪階級の57キロ級で4年ぶりに直接対決の可能性がある。対戦成績は過去3戦全敗で全て零封負け。しかしリオ後の日本女子を支えてきた自負と自信がある。「私も五輪を目指している。戦うことになれば、しっかり戦う」と譲るつもりはない。今度は川井梨がかつて挑み続けた伊調を迎え撃つ。

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