レスリング乙黒拓、乃木坂46で「メンタルが回復」もレスリングになると「人が変わる」

[ 2018年10月23日 07:00 ]

優勝した乙黒(AP)
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 普段のおっとりとした口調と柔らかな物腰は、とてもレスラーのそれではない。世界王者に輝く今大会の前、乙黒拓斗(19=山梨学院大)は「休みの日はずっと部屋にこもってYouTubeですね」とマットを離れた自らの日常を語っていた。

 見ているのはたいてい乃木坂46で、トレーニング中のBGMも同じ。「何よりメンタルが回復します。練習後もリカバリーよりも先に乃木坂。5分でいい」とメンバーの出ている番組を見れば疲れも吹き飛んでしまうという。ライブにも足を運び、推しは白石麻衣。「王道だと思われるけど、1周回って王道に。キレイじゃないですか」と照れた。

 そんな現代っ子っぽいにやけ顔が、レスリングとなると一変する。「周りからも人が変わると言われます。普段はボカボカしているけど、レスリングの時は言い方は悪いけどけんか腰でやっている。勝負なので。ケガをするかもしれないし気は抜きない」と途端に勝負師の顔つきになる。

 競技への真剣な取り組みも誰もが認めている。今大会の70キロ代表だった兄・圭祐は「努力の天才」と言い、「自分も見習わないといけないが、なかなかあそこまでは」と語った。大学の授業の合間にもトレーニングルームに足を運び、ウエートにいそしむ。山梨学院大の高田裕司監督も「練習場に誰かいるなと思ったら、ひとりで練習している。あんな選手は見たことない」と証言した。

 鮮烈な世界デビューを飾った19歳が、2年後の東京五輪の金メダル候補に堂々名乗りを挙げた。



 ◆乙黒 拓斗(おとぐろ・たくと) 1998年12月13日、山梨県笛吹市生まれの19歳。JOCエリートアカデミーに通い、東京・帝京高時代の14〜16年に全国高校総体を3連覇。15年には世界カデット選手権54キロ級で優勝した。17年に国体成年61キロ級を制し、今年6月の全日本選抜選手権65キロ級で初制覇。山梨学院大2年。1メートル73。

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