神鋼 平尾さん命日に快勝、唯一無敗で決勝Tへ 今年こそ頂点

[ 2018年10月21日 05:30 ]

ラグビートップリーグ最終節 ( 2018年10月20日    ノエビアスタジアム神戸ほか )

<神戸製鋼・NEC>平尾誠二氏の映像が流れるなか試合前の練習に励む神戸製鋼フィフティーン(撮影・大森 寛明)
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 神戸製鋼はNECから7トライを奪って48―31で快勝し、紅組首位で決勝トーナメント進出を決めた。くしくもこの日は16年に胆管細胞がんで亡くなった、V7の立役者だった平尾誠二さん(享年53)の命日。リーグ戦7試合50トライという圧倒的な攻撃力で、唯一の無敗を守った。12月の決勝T1回戦で白組4位のリコーと対戦する。

 神戸製鋼のフランカー橋本大輝(31)は間違いなく故平尾さんを思って戦った。「正直、今日だけは出たかった。ジャージーを着られて良かった」。若手の突き上げもあって、今季は絶対的なスタメンではない。2戦ぶりの先発は平尾さんの命日であり、ホームのノエスタ。ガムシャラに走り続けた。

 前半、NECのカウンターを敵陣で止め、スクラムからの攻撃をゴールライン寸前で防いだ。攻守を問わず、密集に速く寄るサポートが主な仕事だ。7トライには直接絡んでいない。黙々と体を張り、平尾さんにかわいがられた。

 歴代最長の5年間も主将を任された。主将最後となった16年に、ゼネラルマネジャーだった平尾さんが亡くなった。その2日後の試合。勝利会見で、号泣した。神鋼は常勝軍団であれ――。「負けた日が多かった」という話し合いで、誰よりも哲学やラグビー観を聞いてきた。世代交代が進み、平尾さんを直接知る人も少なくなった。外国人も増えた。だが、この10月20日の意味を、全員が分かっていた。

 今季就任のディロンヘッドコーチは、2日前と試合前のミーティングで、故人の足跡をまとめた映像を流した。世界的スターのSOカーターも「偉大なプレーヤー。チームのレガシーだ」と理解し、キックと戦術眼で勝利に貢献した。圧倒的な攻撃力でリーグ戦を終え、紅組首位突破。平尾さんが願ってやまなかった「優勝」を、今年こそかなえる。

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