角界暴力 年間50人被害、協会員の5% 骨折など大ケガも

[ 2018年10月20日 05:30 ]

会見を行う暴力問題再発防止再発委員会の(左から)中田委員、但木委員長、近石委員、宇津木委員(撮影・島崎忠彦)
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 日本相撲協会の第三者機関、暴力問題再発防止検討委員会は19日、都内で会見を開き、力士や親方ら協会員などへの個別面談に基づいた実態調査や再発防止策の最終報告を発表した。報告書によると、昨年暴力を受けたと回答した割合は5・2%で、約900人の協会員のうち50人近くに上ることが明らかになった。昨年暴力を振るったと回答したのは8%(約70人)だった。

 過去40年にさかのぼった調査で、暴力を受けた割合は最高だった1979年の37%から減少傾向にあるものの、暴力は同じ部屋の兄弟子から弟弟子に対して生活指導の手段として用いられているのがほとんどだった。そのうちの多くが相撲部屋や地方場所中の宿舎で行われていた。用具は用いず素手による暴力が多かったが、骨折や歯が折れるなどのケガに至った場合も少なくないという。

 但木敬一委員長(元検事総長)は「力士になりたい人を迎え入れるには(昨年暴力を受けた)5%を根絶してもらいたい」と訴えた。外国出身力士によるトラブルが多いことを踏まえ、「日本の相撲をきちんと理解してもらい、心置きなく相撲を取ってもらう環境が必要」と話した。

 再発防止策の提言として、親方については特別研修の実施、資格要件の明確化を求めた。但木委員長は「(状況によって)親方資格の剥奪も設けるべき」と厳しい意見も述べた。相撲協会に対しては暴力事案の把握・処理態勢の整備を求め、各一門の代表の親方で構成されることになるコンプライアンス委員会については外部の有識者に拒否権を持たせることを望んだ。

 ▼八角理事長(元横綱・北勝海) 報告書に書かれたご指摘のすべてを真摯(しんし)に受け止めます。暴力事案に対処する規定等の整備に加え、師匠の指導力向上、外国出身力士への対応などについてもご提言をいただきました。ご提言に従い、今後も外部の有識者の意見を取り入れながら暴力の根絶に全力で取り組みます。

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2018年10月20日のニュース