宮原美穂「おでこが割れた」恐怖心乗り越えV 空手組手女子50キロ級

[ 2018年10月14日 19:45 ]

空手プレミアリーグ最終戦東京大会最終日 ( 2018年10月14日    東京武道館 )

女子組手50キロ級決勝 スペイン選手(左)を破り優勝した宮原美穂
Photo By 共同

 各種目の決勝が行われ、組手女子50キロ級で宮原美穂(22=帝京大)がスペイン選手を5―2で下して優勝。来月の世界選手権(マドリード)にはずみを付けた。

 弱気の虫を封印し、宮原が最後まで攻めきった。ポイントを先行すると守勢になる悪癖があったが、この日はリードしてからも一歩も引かず、小まめにポイントを稼いで完勝。「今回は気持ちを強く持てた。守りに入るとポイントを取られるので、どうせなら前に出ようと思った」と会心の笑みを浮かべた。

 吹っ切れたのには理由がある。12日に行われた初戦の2回戦では、両者ノーポイントで旗判定に持ち込まれる辛勝。内容は決して満足のいくものではなかった。この日は帝京大の香川政夫師範から「場外に出たり下がったりするな」と厳命され、パッと目が覚めた。「武士道らしく(組手が)できた」と内容にも納得顔だった。

 心の奥底に潜んでいた恐怖心も克服した。2年前の練習中、自分よりも大きな相手との組手で、中段突きにカウンターを合わされ「おでこが割れた」。以後、試合では上段突き一辺倒の攻撃となり、行き詰まることが増えた。8月のアジア大会(ジャカルタ)は銅メダル、9月のプレミアリーグ第6戦ベルリン大会ではメダルも逃すなど低迷。ドイツから帰国後、現状打破のために中段突きを練習で繰り返し、試合中盤には「2年ぶりに」その技でポイントも獲得。技のバリエーションが増えることは、今後にとっても大きな収穫だ。

 今回の勝利で、55キロ級で目指すことになる20年東京五輪のポイントレースでも2位以下との差を広げた。3週間後には2年前は銀メダルに留まった世界選手権も控える。「2年前は悔しい思いをした。今年は攻めの組手で優勝したい」と宮原。確かな手応えを得て、今年最大の目標へと向かう。

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2018年10月14日のニュース