貴ノ岩が提訴へ 示談金に“誠意なし”千賀ノ浦親方困惑「貴親方と話さないと…」

[ 2018年10月4日 05:30 ]

朝稽古を終え報道陣の取材に答える千賀ノ浦親方(撮影・郡司 修)
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 幕内・貴ノ岩(28=千賀ノ浦部屋)が、4日にも元横綱・日馬富士を提訴することが分かった。代理人の弁護士が会見を開き説明する。貴ノ岩は昨年の秋巡業で暴行を受け頭部を負傷。昨年11月の九州場所と1月の初場所の休場に追い込まれていた。そのため代理人を立て示談交渉していたが、提示された金額に誠意がみられないとして話し合いを打ち切った。貴乃花親方の退職まで招いた事件は、新たな展開を迎える。

 暴行事件をきっかけにした被害者と加害者の対立は、ついに法廷に持ち込まれることになった。元日馬富士が昨年12月に略式起訴され、今年1月には罰金50万円の略式命令を出されたことを受け、貴ノ岩側は示談交渉をスタート。しかし関係者によれば、これまでの話し合いを通じて提示された金額は不当に低いものだったという。「50万円と聞いている。それでは(調停などの)費用も出ない」と不信感を募らせた。

 貴ノ岩自身は元日馬富士からの暴行で頭部を負傷し、九州場所と初場所を休場。3月の春場所から復帰したものの、十分な稽古ができず千秋楽にようやく勝ち越し。だが、その後の春巡業はPTSD(心的外傷後ストレス障害)と左足関節症で休場している。PTSDは強度の精神的傷害が原因で起きることから、元日馬富士による暴行がその引き金になったとみられていた。そうした精神的、肉体的なダメージに加え入院、通院、休場による経済的な損失を考慮しての要求だったにもかかわらず、元日馬富士側の対応は誠意あるものとして、受け入れられるものではなかったようだ。

 さらに貴ノ岩側が疑心暗鬼になったのが、示談の話し合いの情報が外部に漏れたこと。関係者は「話が表に出ると向こうが困るだろうと思って注意していたのに」と話す。一部では貴ノ岩側が3000万円を要求していると報じられたが、関係者は「額は違います」と話した。

 元日馬富士は9月30日に盛大に引退相撲を行い収入を得た。その一方で、被害者の貴ノ岩は、師匠の貴乃花親方が協会からの退職を余儀なくされ、所属先も千賀ノ浦部屋に替わった。暴行事件が起きて以降、受けたダメージは計り知れない。

 この日、新師匠の千賀ノ浦親方(元小結・隆三杉)は旧貴乃花部屋勢の合流後初めての稽古指導を行った。貴ノ岩は不在だったため、慰謝料問題については「今、初めて(聞いた)。全然分からない。それについては貴乃花親方と話し合わないとだめですね」と困惑した表情を浮かべていた。

 ▼横粂勝仁弁護士 一般人だと50万円が示談金の相場だが、収入や立場によっては300万円で示談した例もある。しかし示談が決裂すれば提訴という形で民事裁判を起こし争うことになる。

 今回のようなケースでは、<1>入院費や交通費など実際に費やした額

<2>休業による損害金

<3>精神的慰謝料

の3つを求めることになる。中でも<2>の休業による損害金が一番の論点で、2場所休場して幕内から十両に陥落したことがどれほどの損失なのか。一般のサラリーマンであれば規定はあるが、過去の成績を示して、出ていれば優勝していたとか、昇進していたとかを主張した場合、そこの認定を裁判官がどう判断するか。<3>の精神的慰謝料は、殴られたことによる精神的被害は高くて100万円ぐらい。私の見解だが、被害者側が1000万円を求め、最終的に500万円ぐらいで落ち着くのではないだろうか。

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