退職と力士らの移籍承認 貴乃花部屋消滅 協会執行部と親方の溝埋まらぬまま

[ 2018年10月2日 05:30 ]

理事会後の会見に臨む(左から)芝田山広報部長、八角理事長、尾車事業部長(撮影・村上 大輔)
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 日本相撲協会は1日、東京・両国国技館で臨時理事会を開き、貴乃花親方(46=元横綱、本名・花田光司)の退職と所属力士らの千賀ノ浦部屋への移籍を承認した。これにより貴乃花部屋は消滅した。会見した八角理事長(55=元横綱・北勝海)は貴乃花親方の退職を惜しむ一方で、一門の受け入れも可能だったと主張。しかし、協会執行部と貴乃花親方の溝は深く、後味の悪い幕切れとなった。

 理事会後に行われた会見。八角理事長は文書を読み上げ心境を語った。「(貴乃花親方の)大相撲への貢献は非常に大きいものがあります。今回、このような形で協会を去ることは誠に残念です」

 貴乃花親方が引退届を出した25日以降、千賀ノ浦親方(元小結・隆三杉)を通じ話し合いを打診したという。「協会に一緒に来てもらえないかと伝えた。千賀ノ浦親方は“1時間半説得したが断られました”と言っていました」と明かした。また貴乃花親方の一門の所属問題については「(理事会、年寄総会が行われた)9月27日までに決まらなくても待つつもりでした」と主張。その上で「決まらなければ(自分が所属する)高砂一門に引き受けることを話すつもりでした」とした。

 しかし、その距離はついに縮まらなかった。貴乃花親方のもとには年寄会から、内閣府に出した告発状の内容を事実無根と否定しなかったことについて、9月27日の年寄総会で説明するよう求める文書が送られていた。八角理事長は年寄総会で貴乃花親方が告発状の内容を否定しなかった場合、何らかのペナルティーがあったのかとの質問には「仮定の話はできない。直接会って話をしたかったという考えはありますけども」と歯切れが悪かった。

 一方、退職が承認された貴乃花親方は応援サイトのブログで周囲への思いを吐露。「貴乃花へ対するご厚情には感謝の言葉しか見当たりません。大相撲は不滅です。土俵は必ず日本国の遺産としてのこります」とつづった。大相撲に誰よりも熱い思いを持っていた平成の大横綱は協会執行部と最後まで交わることなく別れを告げた。

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