【担当記者が語る貴親方】きまじめで不器用…「光司を頼む」先代との約束守れず

[ 2018年9月26日 09:00 ]

貴乃花親方 衝撃の引退届

日本相撲協会に退職届を提出し、会見を開いた貴乃花親方
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 貴乃花が角界を去った。秋場所7日目の15日夜、会食した際、「これからは新弟子をたくさん入門させたい」と明るく笑っていた。それが一転しての辞表提出。改めて「真実は曲げられない」という一途な男の覚悟を示したもの。負けることが分かっていても、戦わなければいけない生きざまは「大好き」な戊辰(ぼしん)戦争での会津武士を彷彿(ほうふつ)させる。

 まだ小学1年生。アニの若乃花が当時の東京・阿佐ケ谷の花籠部屋でわんぱく相撲で奮闘する姿を母・紀子さんとともに真剣に見つめていた。以来30有余年。負傷した膝のリハビリのため、軽井沢のゴルフ場で痛みに耐えながら、強い横綱復活へ黙々と歩いていた姿が忘れられない。

 現役退いた際、グラスを傾けながら、「親方は縁の下の力持ち。主役は現役力士だよ」と話した。幼い頃から注目度No・1。当時、東京杉並区浜田山の自宅ベランダに筋トレ器具を持ち込むなど人目に触れないところで不撓(ふとう)不屈の精神で努力を重ね“平成の大横綱”の称号を手にした。しかし、元来のシャイで頑固一徹さが時として周囲にはわがままとして写ったとしても仕方なかった。

 日本相撲協会の紋章は「桜花」。故春日野理事長(元横綱・栃錦)は「横綱は桜の花が散るように潔さが身上」だったが、一代年寄としてそれを実践した。協会はとてつもない財産を失った。

 会食後の帰り際、「未明に先代(実父・故大関・貴ノ花)の夢を見ました」と吐露。まさか数日後に協会幹部による執ような貴乃花排除包囲網で辞任まで追い込まれようとは…。そんな先代が他界して13年余。最後の言葉の「光司を頼む」が脳裏を離れない。かたくなできまじめ、不器用な生き方しかできない息子さんを最後まで守ってやれなかったことが口惜しい。先代、ごめん!! (東京相撲記者クラブ会友・龍川裕)

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