白鵬W快挙!幕内1000勝&単独1位13年連続V 無傷で決めた

[ 2018年9月23日 05:30 ]

大相撲秋場所14日目   ○白鵬―豪栄道● ( 2018年9月22日    両国国技館 )

幕内通算1000勝を達成して(前列左から)炎鵬、宮城野親方、一人空いて石浦や若い衆らと笑顔をみせる白鵬(撮影・郡司 修)
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 横綱・白鵬(33=宮城野部屋)が幕内通算1000勝の大記録を打ち立てた。2敗の大関・豪栄道(32=境川)を豪快に投げ飛ばして無傷の14連勝とし、千秋楽を待たずに今年初となる41度目の優勝を決めた。13年連続Vは昭和の大横綱・大鵬を抜き単独トップ。稀勢の里(32=田子ノ浦部屋)は鶴竜(33=井筒部屋)との横綱対決を制して10勝目を挙げた。

 どんな壁であろうと打ち破ってきた白鵬には“神の領域”さえも同じだった。逆転の可能性を残した豪栄道の鋭い踏み込みに後退しながらも、余裕を持って体を開き、土俵下へ投げ飛ばした。優勝と大記録のダブル歓喜を豪快に飾り、「両手に花だね。価値ある優勝だと思う」と胸を張り、一斉にフラッシュを浴びて「目が痛い」とはにかんだ。

 前人未到の大記録に迫ったこの日の朝。東京都墨田区の宮城野部屋前に到着すると軒先に置かれたパイプ椅子に腰をかけ、コーヒーカップを手に秋の空気を吸った。目を閉じながら心を落ち着かせる。近所の2歳の子供が近寄ってくると笑顔で手を振った。柔和な顔をしてハイタッチ。だが、その後、穏やかな顔は一瞬にして勝負師の表情に変わり、稽古場へ向かった。

 「あのね、メンタル強い人なんていないの。(強く見える人は)コントロール(できる)」。百戦錬磨が場所前、口にした意外な言葉だった。大量の汗を流すまで続ける稽古前の四股やすり足。弟弟子が感心するほどの基礎運動が強じんな体をつくり上げた。鍛えた体でつかんだ白星が自信となり、数々の経験が勝負へ向かう男の集中力を培った。

 小結・貴景勝(22=貴乃花部屋)を沈めた5日目。師匠の宮城野親方(元幕内・竹葉山)に「(年齢が)ひと回り違うのに、これだけ相撲を取れるなんて、若いんだな」と話し意気揚々とした。若手の壁になり、大関獲りの御嶽海も一蹴。大関を破った一番でも力強さは変わらなかった。「幕内1000勝、唯一の人間になったわけですから最高にうれしい」。待望の瞬間に声を弾ませた。

 13年連続で優勝を果たして12年連続の“昭和の大横綱”大鵬をも抜き去った。「未来の相撲、子供に大きい目標をつくったと思う」。自らも通算1000勝を達成した元横綱・千代の富士らの映像を見て階段を上がってきた経験がある。後輩からは雲の上の存在となったように見える第一人者は「目指せ1001勝」と新たな第一歩へと切り替えた。道なき道を行く白鵬。その時代に終わりは見えない。

 ≪横綱で割以上≫白鵬の幕内通算成績は1000勝180敗109休。横綱では在位67場所で806勝を挙げており、幕内勝利の8割以上を占めている。大関では73勝(7場所)、三役(7場所)は69勝、平幕(5場所)は52勝。白鵬は幕内900勝を挙げてから1000勝まで、不戦敗を含め25敗(76休)を喫した。これは幕内100勝目までに喫した49敗(6休)に次ぐ多さ。300勝から400勝、400勝から500勝までは、いずれも5敗。

 ◆白鵬 翔(はくほう・しょう、本名ムンフバト・ダバジャルガル)1985年3月11日生まれ、モンゴル・ウランバートル出身の33歳。01年春場所で初土俵を踏み、04年夏場所で新入幕。初優勝は06年夏場所。07年名古屋場所で新横綱。10年に史上2位の63連勝。得意は右四つ、寄り、上手投げ。今年4月に死去した父ムンフバト氏はメキシコ五輪レスリング銀メダリスト。家族は紗代子夫人と3女1男。1メートル92、154キロ。血液型A。

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