稀勢 痛恨2敗 玉鷲に何もできず…「あー」、ここから正念場

[ 2018年9月17日 05:30 ]

大相撲秋場所8日目   ●稀勢の里―玉鷲○ ( 2018年9月16日    両国国技館 )

玉鷲(右)に押し出しで敗れた稀勢の里(撮影・尾崎 有希)
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 進退を懸ける横綱・稀勢の里が痛恨の2敗目を喫した。初日から7連敗の小結・玉鷲の突き、押しをまともに受け、何もできずに押し出された。場所前に稽古場で胸を合わせていた相手に完敗し、残り7日間に不安を残した。横綱・白鵬は再出場の平幕・豊山を上手投げで退け、横綱通算800勝。全勝は白鵬、鶴竜の両横綱だけとなった。

 伏し目がちに花道を引き揚げた稀勢の里は、東の支度部屋の風呂場に入る前に「あー」と声を上げた。風呂から上がっても悔しさは消えない。報道陣の質問に、今場所初めて無言を貫いた。

 6日目の初黒星は5戦全敗だった千代大龍に喫した。2敗目も勝ち星のなかった玉鷲に敗れた。相手の左はず押しで上体が起き、後退を余儀なくされた。左に回り込もうとしたが、それも阻まれた。阿武松審判部長(元関脇・益荒雄)は「玉鷲の圧力が凄すぎて何もできなかった」と負けた横綱よりも勝者の相撲内容を評価した。

 嫌な予感はあった。最初の立ち合いは稀勢の里が先に当たったが、式守勘太夫に止められた。直近の対戦だった昨年九州場所初日は、玉鷲に2度突っかけられた末に、つかまえきれずに敗れていた。押し相撲には立ち合いのわずかな遅れが命取りになる。玉鷲には場所前の二所ノ関一門連合稽古では9勝1敗だったが、「稽古場と本場所は違う」と話していた言葉が現実になってしまった。

 横綱で単独ワースト記録となった8場所連続休場。10日目まで土俵に上がった昨年夏場所でも横綱、大関との対戦は組まれず、9日目の栃ノ心戦は昨年春場所千秋楽の照ノ富士戦以来、9場所ぶりの大関戦となる。八角理事長(元横綱・北勝海)は「今まで通りじゃないか。今更変えることはできない。やってきたことをやるだけ」と力を出し切ることを求めた。昨年夏場所は6勝2敗から2連敗し、負傷もあって途中休場となった。進退問題をはねのけるには、どんな形でも勝利をもぎ取るしかない。

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