稀勢“崖っ縁”で真価!戻った持ち味 強じんな粘り腰で大逆転

[ 2018年9月11日 05:30 ]

大相撲秋場所2日目 ( 2018年9月10日    両国国技館 )

<大相撲秋場所2日目>稀勢の里(右)は貴景勝を突き落としで下す(撮影・西川祐介)
Photo By スポニチ

 進退を懸ける横綱・稀勢の里が劣勢をはねのけて逆転勝ちした。直近の対戦で2連敗していた小結・貴景勝に攻め込まれながらも懸命に残し、右からの突き落としで2勝目を挙げた。幕内通算706勝とし、歴代7位の武蔵丸に並んだ。カド番大関の栃ノ心、鶴竜、白鵬の両横綱らも勝ち、横綱・大関陣は安泰だった。

 驚異的な粘りで、稀勢の里が悲鳴を大歓声に変えた。貴景勝の下からの攻めで俵に詰まったが、しっかり耐えた。いなされて大きく泳いでも、畳みかける相手の攻めを右足一本で残した。そして突き手を右から振りほどいて突き落とし。絶体絶命の危機を乗り越え、白星を2つ並べた。

 激闘を制しても口数は少なかった。慌てなかったかと問われると「集中してやった」、下半身の粘りについては「まあ集中してやった」と答えた。勝つことが大事かとの問いには「またしっかり集中してやる」。他の質問には無言だった。

 持ち味の一つだった強じんな粘り腰が戻った。昨年春場所で左大胸筋などを負傷してからは、患部をかばうことでバランスを崩し、あっさり土俵を割ることが増えていた。だが、3場所連続全休でケガを気にせず稽古できるようになり、夏巡業では「体全体の力も出てきた」と復調を感じ取っていた。それを本場所で証明。土俵下で審判を務めた師匠の田子ノ浦親方(元幕内・隆の鶴)は「下半身を鍛えていたから。体が動いていたので残れた」と鍛錬のたまものであることを強調した。

 “異変”はあった。46回目の本場所での横綱土俵入りに要した1分21秒は自身最短。1分22秒で最短タイだった初日から1秒早くなった。4場所ぶりの出場で所作が早くなっていたが、相撲には影響しなかった。横綱28勝目で、武蔵丸の幕内706勝に肩を並べた。

 連勝は昨年の九州場所以来。完全復活までの道のりは平たんではない。ただ、もがきながら横綱まで上り詰めた稀勢の里だからこそ、この日の1勝は光明になり得る可能性がある。

続きを表示

2018年9月11日のニュース