大坂なおみ 日本人の謙虚さとハイチ人の陽気さ それに米国人の自由さ

[ 2018年9月10日 05:30 ]

テニス全米オープン第13日 女子シングルス決勝    大坂2―0Sウィリアムズ ( 2018年9月8日    ニューヨーク・ビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニスセンター )

試合後、セリーナ・ウィリアムズ(左)とハグする大坂なおみは感無量の表情(AP)
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 ハイチ系米国人の父と北海道生まれの日本人の母を持ち、3歳で大阪から米国に移住してテニスに打ち込み、日本語より英語をうまく話すのに日本代表としてプレーしている。オンとオフの内面的なギャップだけでなく、文化的背景のギャップ、複雑さも大坂にはある。

 今大会中、海外メディアからも日本や米国へのアイデンティティーの質問がぶつけられた。「父がハイチ出身だから、私はニューヨークに住むハイチ人の家庭で育った。おばあちゃんと住んでいて、ママは日本人だから日本文化の中にもいた。米国文化というなら、私は米国在住だからそれもある」。大坂は少し難しい顔をして答えた後「これで答えになっているといいんだけど」とほほ笑んだ。

 今年の全豪では日米のファンの存在について聞かれて「父はハイチ出身なのよ。そっちも代表しているの」と付け加えた。昨年10月には初めて同国を訪問して歓迎を受けた。この日の決勝でもハイチ国旗を揺らした応援団が「GOナオミ!」とどの国のファンよりも大きな声援を飛ばしていた。

 完璧主義で練習でも小さなミスが許せない。場の空気を読んで、勝ったことを表彰式で謝ってしまう。そんな部分は日本人らしく、天然キャラのインタビューは気さくなハイチ人的なのかもしれない。そして規格の大きな大坂のテニスはきっと米国の環境でなければ育たなかった。

(一つの枠でくくれない/) 「米国代表でプレーすることを考えたことはない」という思いと、「日本に行ってもホームだとは思わない。超イケてる長期休暇って感じ」という思いは大坂の中では矛盾していない。日本の枠でくくってもどこかがはみ出し、米国の枠でくくっても何かがこぼれる。だからこそ、世界中の人々が興味を引かれる存在になりえるのかもしれない。

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2018年9月10日のニュース