松岡修造氏 世界中が感じた「ニシコリ・タフ」、ジョコも打ち崩せる

[ 2018年9月7日 08:10 ]

テニス 全米オープン第10日 ( 2018年9月5日    ニューヨーク・ビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニスセンター )

全米オープン男子シングルス準々決勝 チリッチ戦でガッツポーズする錦織(AP)
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 【松岡修造の目】錦織圭が改名する日が来たと世界中が感じたに違いない。「ニシコリ・ケイ」ではなく「ニシコリ・タフ」。試合後にインタビュアーが最初に語りかけた単語も「タフ」だった。

 序盤のチリッチには圭も「これはかなわない」と思ったはず。弾丸サーブと機関銃のようなショットが全て入っていたからだ。そこで第2セットの2―4から展開を変えた。少し位置を前にずらし、ラリーのテンポを速めた。それがチリッチのテニスだけでなく、心のリズムまで狂わせた。

 それまでは圭の方が「負けた4年前の決勝のようだ」と思い出していた。そこからは通算6勝8敗と負け越しているチリッチが「すばしっこいの嫌いだな、速いテンポは嫌いだな」と思い出した。おかげで完璧だったものが崩れ始めた。

 特に光ったのは第3セットのセットポイントとマッチポイントでのリターンエース。最近の圭なら守っていた場面だ。そこで攻めて打っていけたことが、圭に自信とエネルギーをくれた。攻める大事さを改めて感じたことは次の試合にも生きてくる。

 今大会のジョコビッチは人生最高のプレーをしている。それでも圭なら打ち崩せる。ジョコビッチも圭のレベルが戻ってきているのは分かっている。ただし「錦織は心が弱い。俺は絶対に崩せる」とも思っている。テニスが整えば、あとはタフさ勝負。今日の圭ならチャンスはある。試合後にジョコビッチが「圭はタフになった」と言ってくれるのを是が非でも見たい。(スポーツキャスター)

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