【松岡修造氏が見た大坂】ナオミ・キャンドル再点火で“根勝ち”

[ 2018年9月5日 09:00 ]

テニス全米オープン第8日   女子シングルス4回戦 ( 2018年9月3日    ニューヨーク・ビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニスセンター )

女子シングルス4回戦でアリーナ・サバレンカに競り勝った大坂なおみ
Photo By 共同

 【松岡修造氏が見た大坂】大坂さんの集中力を表す“ナオミ・キャンドル”。以前は一度消えたらもう火はつかなかった。でもサバレンカ戦ではつけ直すことができた。間違いなく次のレベルに達した。

 第1セットは炎が大きく、プレーの質も良かった。相手の強打はあったが、角度をつけて相手を動かし、無理をさせた。特にバックハンドのクロス。これまではサイドラインの幅の中でしか相手を動かせなかったのが、もっと広くコートを使って揺さぶっていた。いいショットがあり、サービスも安定している。だがスーパーショットと呼べるようなショットはなかった。お客さんからすると「凄い!」ぐらいで「スーパー凄い!」ではない。そこは残念な点だが、その代わりに身につけた安定感が第1セットは見られた。

 ところが第2セットは急に火が消えた。相手の頑張りもあったし、大坂さんの課題でもある。それを第3セットまでの10分間の休憩でまた灯をともしてきた。ゲームが始まって先にブレークされても気落ちせず、ガッツポーズを自然に繰り返しながら火を絶やさなかった。

 彼女の勝ちたい気持ちがとてもよく表れていたのが相手サーブの第6ゲーム。40―0とリードしたのに、とにかく守った。返球は浅いし攻めない。昔は勝ち負け関係なくドカンと打っていたのが、勝ちたいと思うからこそ打てなくなっていた。

 どんなトップ選手でも守ることはある。それは悪くない。そこで結果を出せるかどうか。大坂さんは結果を出した。これは彼女の力になる。間違いなく次は気持ちよくプレーできるはずだ。サバレンカは強かった。強い選手に“根勝ち”できた。これは自信を持っていい。全てを自信に変えてほしい。 (スポーツキャスター)

続きを表示

2018年9月5日のニュース