大坂、4大大会初の8強!錦織とともに全米OP初のアベック

[ 2018年9月5日 05:30 ]

テニス全米オープン第8日   女子シングルス4回戦 ( 2018年9月3日    ニューヨーク・ビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニスセンター )

女子シングルス4回戦でアリーナ・サバレンカからポイントを奪い雄たけびを上げる大坂なおみ
Photo By 共同

 号泣8強!女子シングルス4回戦で第20シードの大坂なおみ(20=日清食品)が、第26シードのアリーナ・サバレンカ(20=ベラルーシ)を6―3、2―6、6―4で下し、4大大会で初の8強入りを決めた。男子シングルス4回戦でも第21シードの錦織圭(28=日清食品)が世界34位のフィリップ・コールシュライバー(34=ドイツ)にストレート勝ち。シングルスで日本勢のアベック8強入りは全米で初、4大大会では23年ぶり2度目の快挙となった。

 攻めて、打ち込み、打ち崩す今までの大坂ではなかった。守って、しのいで、耐え抜いた。終盤は「全てのボールに追い付けるなら脚が壊れても構わないと思った」と言うほどの決意でボールを追い続けた。何としてもたどり着きたいゴールがあったから耐え抜けた。

 「ここで8強以上に行くことを夢見ていた。一つの目標を達成できてうれしい」。今年の全豪を上回る自身初の8強入り。涙が自然とあふれ出た。ベンチでタオルに顔をうずめ、コート上でのインタビューになってもまだ止まらなかった。

 今夏急成長した同い年との初対戦は2時間の激闘になった。1メートル82と自分より大柄なサバレンカに殴りつけるような強打を浴びせられた。大坂にとってそれは数年前の自分を見るような思いだったかもしれない。

 「全てのボールをハードヒットする必要はない」。今季から師事するサーシャ・バインコーチに諭され、強く打つことだけが勝利につながる道ではないことを学んできた。覚えたのは「我慢」。サバレンカの攻撃に耐え、最終セットは何度チャンスを逃しても諦めなかった。相手の心理を予測し、第10ゲーム、意を決したように攻めに転じた。第2サーブを立て続けに叩いてマッチポイント。重圧に屈したサバレンカが最後はダブルフォールトを犯した。試合後、最後は「ダブルフォールトお願いします!」との心境だったと苦笑いで明かした。それほど厳しい戦いだった。

 「今日は私の方が経験があった。彼女はまだ若いから」と大坂はまるでベテラン選手のように言った。日本テニス協会の土橋登志久強化本部長も「勝つテニスができるようになった」と攻撃一辺倒ではない大坂の変化を“成熟”と頼もしく受け止めた。

 日本テニス界にとって23年ぶりの快挙。大坂にその小さな枠組みは必要ないかもしれないが、「圭のウィンブルドンでの活躍を見て凄く刺激を受けた。いつも彼についていこうと思っていた」と日本のエースの存在を支えにもしてきた。錦織とともに目指すのはこの先にある頂点。「8強はうれしいけど大会は続いていく。ここで喜んではいられない」。会見でそう語った頃には涙はすっかりと乾いていた。

 ◆大坂 なおみ 1997年(平9)10月16日生まれ、大阪市出身の20歳。ハイチ出身の父と日本人の母を持ち、3歳で米ニューヨークに移住。姉・まりとともに父レオナルド・フランソワさんの指導でテニスを始める。15歳だった13年にプロ転向。16年に日本人初となるWTA最優秀新人賞を受賞した。今年3月のBNPパリバ・オープンでツアー初V。1メートル80。

続きを表示

この記事のフォト

2018年9月5日のニュース