大野 11分超え死闘制し金!リオ王者「粘り収穫」アジア“登頂”

[ 2018年8月31日 05:30 ]

アジア大会 柔道男子73キロ級決勝   ○大野将平 優勢11分9秒(延長) 安昌林● ( 2018年8月30日    コンベンションセンター )

<アジア大会柔道>男子73キロ級決勝、激しい攻めを見せる大野将平(右)(撮影・小海途 良幹)
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 11分を超える大熱戦。互いに死力を尽くし、技を掛けるたびに悲鳴と歓声が入り交じったが、大野は「皆さんには少々、見応えのない決勝だったと思いますけど」と言ってのけた。立ち技で一本取る柔道が世界から絶賛されたリオから2年。再び畳の上に帰ってきた王者は「あれだけ我慢強く粘り強く戦えたのは収穫」と話した。

 世界中から標的とされる存在。日本育ちの安昌林(アンチャンリム)からも研究され、引き手を徹底的に嫌われた。延長戦に入り「持って来いよ、俺は逃げねえぞという気持ち」で相四つとなり、間を詰められる左組みにスイッチ。相手の背負い投げを何度も耐えた末、大外刈りから内股への連絡技で技あり。最初はノーポイントだった微妙な判定に「審判に助けられた思いはある」と漏らしながらも、「あと10分、20分戦ってやろうと。稽古の質と量では絶対負けないと思っていた」と矜持(きょうじ)を示した。

 五輪までの4年間を登山に例える。リオに登頂し、続く東京は「違ったルートで登る楽しみがある」といい、行動に移した。昨年4月には無差別で争われる全日本選手権に挑戦。天理大大学院で得意技である大外刈りを研究し、修士論文にまとめた。73キロ級で復帰したのは、昨年12月のグランドスラム東京大会。「普通に柔道の稽古をしていた方が楽だった」と選んだルートの険しさを実感しながらもアジアの山を制した。

 「決勝でまだまだ物足りない面が見えて悔しい」と内容には全く満足していないが、その名は再び世界にとどろいた。圧倒的で、憎たらしいほど強い大野将平が帰ってきた。

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