日の丸付きTシャツで…バスケ4選手 アジア大会中に買春行為で選手団から追放 

[ 2018年8月21日 05:30 ]

成田空港に到着した(左から)橋本、佐藤、今村、永吉は報道陣に頭を下げる(撮影・沢田 明徳)
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 またスポーツ界に激震だ。日本オリンピック委員会(JOC)は20日、ジャカルタ・アジア大会に出場中のバスケットボール男子の4選手に買春行為があったとして、代表認定を取り消したと発表した。事実上の選手団追放となる。選手はいずれもBリーグの永吉佑也(27=京都)、橋本拓哉(23=大阪)、今村佳太(22=新潟)、佐藤卓磨(23=滋賀)で、同日に成田空港に到着した4選手は、都内で行われた会見で謝罪した。

 日本代表の資格を失った4人は私服姿で成田に帰国した。その後都内のホテルに移動。黒のスーツに着替えて会見に臨み、リーダー格の永吉は「このたびは私たちの軽率な行動により、多大なご迷惑をおかけしたことを深く反省しております」と謝罪した。

 4人は16日の1次リーグ2戦目のカタール戦に勝利した後、午後10時すぎに選手村から外出。胸に日の丸がついたTシャツ姿で焼き鳥を出す日本食店で食事し、ビールをコップ3杯程度飲んだ。この地域は「ブロックM」と呼ばれる歓楽街。店周辺が歓楽街だとは認識していなかったが、永吉は「奇麗にされている女性が多くいて、そういう街だと感じた」という。

 食事を終えた17日午前0時ごろ、2軒目の店を探していると4〜5人の女性に声を掛けられた。たまたま居合わせた日系企業に勤めるという2人の日本人が通訳に入って女性側と交渉。「いけないことをしているという認識はあった」(橋本)が、ホテルに入って不適切な行為をし、17日午前2時半ごろ選手村に戻った。1人120万ルピア(約9000円)を払ったという。山下団長は「一番大きな問題は買春。そういった行為をしたことが許されないと判断しました」と断じた。

 スポーツ界に不祥事の嵐が吹き荒れる。アジア大会でも、前回14年の仁川大会で、競泳の冨田尚弥が大会会場で窃盗事件を犯して選手団を追放された。アジア大会への派遣は国費で賄われており、日本選手団の行動規範は「競技での活躍だけでなく、競技を離れた場でも社会の規範となる行動を心掛ける」と定めている。JOCは選手への教育プログラムを組み、今大会に向けては協会、監督、コーチから規範の徹底を呼び掛けていた。それだけに、山下団長は「なぜバスケ協会の方が選手に伝えてくれなかったのか」とやりきれぬ思いを口にした。

 2020年東京五輪まであと2年。アスリートに求められるのはパフォーマンスだけではない。品格ある行動が何より求められる。

 ▽ブロックM インドネシアの首都ジャカルタにある有名な歓楽街。東京の歌舞伎町、北海道のススキノに例えられることがある夜遊びの中心地。カラオケ店が多い。また、日本人向けのスーパー、飲食店が多く立ち並ぶ。

 ◇過去のスポーツ界の代表“追放”アラカルト

 ☆サッカー 04年2月9日に茨城県内でのW杯アジア1次予選に向けて行われた合宿で久保竜彦(当時横浜)、大久保嘉人(当時C大阪)ら7選手が無断外出。キャバクラで飲酒し、騒ぎを起こすなどして、3月のW杯1次予選シンガポール戦のメンバーから外れた。

 ☆競泳 14年9月に行われた仁川アジア大会で、競泳男子の冨田尚弥が報道陣の物品を窃盗。現地の警察署から事情聴取され、事実関係を認めた。JOCは同大会の日本選手団から追放した。

 ☆スノーボード 15年11月中旬から12月末に行われた、米国コロラド州での合宿で、未成年選手による大麻使用の情報を受けた全日本スキー連盟(SAJ)が調査。1人は使用を自供して、もう1人は否認するも毛髪検査で大麻の成分が検出され、使用したと認定された。2選手に対し、無期限の会員・競技者登録の停止などの処分を下した。

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