日大アメフット部、出場停止解除せず 来季の降格決定

[ 2018年8月1日 05:30 ]

記者会見する(左から)関東学連の森本専務理事、柿沢理事長、検証委の川原委員長、寺田委員 
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 日大アメリカンフットボール部の悪質タックル問題で、関東学生連盟は31日、都内で臨時理事会を開き、公式試合の出場資格を停止されていた日大の早期処分解除は認めなかった。弁護士、医師ら5人で構成される関東学連の検証委員会が、日大から提出されたチーム改善報告書を精査し、「十分な改善がなされたとは認められない」と答申。理事会でも20人中17人が答申に賛成し、日大の今季復帰の道は途絶えた。

 内田正人前監督が去り、日大アメフット部は早急にチーム刷新を進めてきた。7月17日に提出した改善報告書には多くの改革案を盛り込んだ。日大関係者は「ここまで出して駄目だと言われるわけがない」と自信を示していたが、検証委員会の出した答えは無情にも「NO」だった。

 危険なタックルで相手QBを負傷させた5月の関西学院大との定期戦は大きな社会問題となった。出場停止の早期解除の条件は(1)チームとしての原因究明(2)実効性ある再発防止策の策定、実施(3)抜本的なチーム改革、組織改革の断行。だが、いくらアメフット部が改革を約束しても、組織改変には大学全体の取り組みも必要になる。

 「日大全体で取り組まなければ実効性を伴わない施策についてはその策定も実施もいまだ不確定、不十分であると言わざるを得ず、本日現在までに十分な改善がなされたとは認められない」。委員会はそう結論づけ、理事会も答申を支持した。

 委員会は選手たちの主体性の欠如も問題視していたが、報告書にその点への言及がなかった。また、日大のドンである田中英寿理事長の姿勢にも疑問符をつけた。大学運営に大きな影響を持つ立場でありながら、チーム改革を後押しするメッセージをついぞ発することはなし。「改革をトップダウンで進めていく」などのメッセージを発していれば、今回の結論が変わっていた可能性を示唆した。

 これにより日大は秋のリーグ戦に出場できず、2019年度シーズンは1部下位リーグへの降格が決定。苦しい決断を迫られた関東学連の柿沢優二理事長は「日大と言えば日本の宝のようなチーム」と目に涙を浮かべ、「フットボール部だけに解決策を押しつけるようになった。日大のガバナンスには少なからず憤りを感じる」と付け加えた。寺田昌弘検証委員も「学生につけを回すことになり断腸の思い」と語った。

 大学日本一を決める甲子園ボウルで21度の優勝を誇り「東の日大、西の関学」と言われてきた名門の失墜。「フェニックス」の愛称を持つチームはその翼を失った。

 【上位8チーム下位8チームで構成】関東学連1部リーグは上位8チームによる「TOP8」と下位8チームによる「BIG8」で構成されている。毎年上位と下位の2チームが入れ替え戦を行うが、日大はリーグ戦全戦不戦敗扱いで自動的に降格となる。関東学連は時間的制約もあって日大を含めた開催日程をすでに組んでいた。券売や会場使用料などの損失の補てんについてはリーグ戦終了後に日大に請求することになる。

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