ウィンブルドン史上2番目6時間36分 アンダーソン初のファイナル進出

[ 2018年7月15日 05:30 ]

テニスウインブルドン選手権第11日 男子シングルス準決勝   アンダーソン3-2イスナー ( 2018年7月13日    英ロンドン・オールイングランド・クラブ )

死闘を終え称え合うアンダーソン(奥)とイスナー(AP)
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 男子シングルス準決勝で第8シードのケビン・アンダーソン(32=南アフリカ)が第9シードのジョン・イスナー(33=米国)を下し、初の決勝進出を果たした。同種目の南アフリカ勢としては97年ぶりのファイナル進出。6時間36分は大会史上2番目の長時間試合だった。前日に順延となった準決勝のもう1試合は14日に再開し、第12シードのノバク・ジョコビッチ(31=セルビア)が勝利。女子シングルス決勝は第11シードのアンゲリク・ケルバー(30=ドイツ)が初優勝を飾った。

 タイブレークがない最終セットの第50ゲーム。イスナーの力ないショットがサイドラインを割り、大会史上2番目に長い6時間36分の一戦に終止符が打たれた。最終セットだけで2時間54分に及ぶ死闘。だが、初の決勝進出を果たしたアンダーソンに笑顔はない。1歳上のイスナーとは米国での大学時代からしのぎを削り、尊敬し合う仲。「誰かが勝たないといけない。複雑な心境だ」と声を震わせた。

 イスナーがリードした第3セットまでは、全てタイブレーク。最終セットも、互いにサービスキープが続いた。両者合わせて102本のサービスエースを奪った試合は第49ゲームに動く。レシーブで足元がふらついて転倒したアンダーソンは、次のプレーでラケットを拾い上げ、利き腕と逆の左手で返球。執念でラリーを制し、ブレークにつなげた。「肘の手術を受けた若い頃、4〜5カ月、左手で練習したことがある。まさかこんな場面で生かされるとは…」。土壇場で運も味方した。

 今大会は準々決勝で第1シードの「芝の王者」フェデラーを4時間13分の熱戦の末に下すなど絶好調。そしてこの日の激闘を制するなど勢いにも乗っている。「死力を尽くした」一戦で勝利の女神を振り向かせたアンダーソンは、決勝で最後の力を振り絞り、初の戴冠を狙う。

 ◆ケビン・アンダーソン 1986年5月18日生まれ、南アフリカ出身の32歳。6歳でテニスを始め、07年にプロ転向。昨年は全米オープンで決勝に進出。第1シードのナダルにストレートで敗れたが、4大大会で初めて準優勝という成績を収めた。シングルスではツアー4勝をマーク。長身を生かしたサーブが武器。自己最高ランキングはシングルス7位。2メートル3、89キロ。右利き。

 <準決勝では最長>主催者によると、132回を数える大会で6時間36分は全種目を通じ、準決勝の最長試合時間。合計99ゲーム、1セットで50ゲームも準決勝では、いずれも史上最多となった。10年大会1回戦で、3日間に及ぶ11時間5分のテニス史上最長試合を演じたイスナーは、右足にマメができ、左のかかとに痛みが出たという今回も再び歴史に残る試合となったが「慰めにはならない」。4大大会で最終セットにもタイブレークを導入しているのは全米オープンのみ。ウィンブルドンでは、最終セットで2ゲーム差をつけないと勝負が決まらない。イスナーは、タイブレーク導入を訴えたアンダーソンに同意し「ルール変更に賛成する」と主張した。

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