【一問一答】羽生結弦 家紋入り仙台平の袴で堂々「みなさまの心が1つになれる存在になりたい」

[ 2018年7月2日 12:25 ]

羽生結弦 国民栄誉賞授与式 ( 2018年7月2日 )

国民栄誉賞授与式の席に着き笑顔の羽生結弦選手(撮影・長久保 豊)
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 平昌五輪のフィギュアスケート男子で連覇を達成した羽生結弦(23)が2日、官邸で行われた国民栄誉賞授与式に出席し、授与式に羽生は凛々しい「仙台平」の紋付き袴姿で登場。安倍晋三首相(63)から表彰状や盾を受け取った。

 授賞式後には報道陣の取材に応じた。

 羽生の一問一答。

 ―率直な感想を。

 「こういった賞は自分だけで取れるものではない。ここまで切り開いてくださった方がたくさんいる中で代表として、たぶん僕は環境にも恵まれながら頂いた賞だと思うので、本当にこの賞とみなさまの期待とともに、これからも進んでいきたい」

 ―きょうの袴姿について。

 「袴が仙台平という、人間国宝である甲田(綏郎)さまが直々に贈ってくださったもの。伊達藩の藩主の方々が使っていたということもあって、非常に素晴らしいものですし、自分は袴に詳しくないんですけども、身につけていて本当に快適。羽生家の家紋もつけさせていただきました」

 ―記念品を辞退した。

 「自分の中でみなさまを代表して、という気持ちがすごくあり、みなさまとともに取れた賞という気持ちがすごくあったので、僕個人の気持ちとかそういうのはあまり出したくないなと。そういった意味で記念品は辞退させていただきました」

 ―今後の目標は?

 「競技会に向けてしっかりと準備していくことが大事。ケガの具合も少しずつ良くなって、できるジャンプ、できる技がどんどん増えてきている。自分の体と相談しながら、試合に向けて準備を着々と進めていければ」

 ―最年少の受賞について。

 「自分の中では最年少という気持ちは大きくなくて、ずっと自分の気持ちの中ではここまで応援してくださった方々も含めて、みなさまの思いが背中を押してくださったと思っている。最年少というよりはみなさんがそばにいてくれて、ここで自分が受け取ることができたのかな、と感じている」

 ―国民栄誉賞の受賞者としてどういう人生を送っていきたいか。

 「ここまで昨日までアイスショーなどを行ってきた。そういった中で、受賞が決まった時にたくさんの方々からおめでとうという言葉を頂いたし、日本の方々だけではなくて、一緒にアイスショーで滑っていた海外のスケーターの方々からも、おめでとうという言葉が聞けたのが、すごく印象的だった。だからこそ日本人として、誇りを持って、日本だけじゃなく海外にも目を向けてスケーターとして滑っていきたいと思っているし、海外の方から見ても素晴らしい賞であるからこそ、せっかくいただけた賞の名を背負って、これからいろんな活動のきっかけとなるような機会になればなと思う」

 ―どんなスケーターになっていきたいか。

 「スケーターとして人間として、このように素晴らしい賞をいただけるということは、普通ではいけないんだなって自分の中ではちょっとけじめをつけている。これからも私生活含めて、いろんなことに気を遣って、後ろ指さされないような生き方をしていきたい。それは自分のスケート観においても一緒で、これからも全力で自分の名に、そしてこの国民栄誉賞という素晴らしい名に恥じないようなスケートをしていくことが、まずは大事かなと今は思っている」

 ―次の五輪への意気込みは。

 「特に考えていません。今、自分が思っていることは今、自分がやりたいこと、自分がスケートを通じて磨いていきたいこと、成長していきたいこと、そういったことを自分が納得できるようにしたいと思っている」

 ―仙台の被災者へメッセージを。

 「僕は仙台のスケートリンクで当時、練習中に被災して、それから本当にたくさんの方々にご支援していただき、さまざまな形でもお力をいただいた。そういった意味で、被災地の方々からも応援されていた立場だからこそ、やはりみなさんの力になればという思いで今もいるし、また、僕は何かを作ったり、直接的に何か手助けできる立場ではないので、本当に実質的な復興の力にはなれていないかもしれないけど、スケーターとしてフィギュアスケートをやっている人間として、やっぱり自分のスケートだったり、自分がこうやって国民栄誉賞をいただいたことで、少しでも希望を抱けるようなきっかけだったり、自分を通じてみなさまの心が1つになるような存在であったり、そういう風になっていきたい」

 ―スポーツ界での自分の役割、やりたいこと。

 「将来的には日本だけではなくて、本当にトップに立ちたいと思っている選手は全世界にあふれているので、そういった方々の支援ができるような立場になれればな、というふうに思っている。こういう賞をいただけたからこそ、日本人としての誇り、文化、考え方にもしっかりと思考を巡らせて、そういう立場に立ちたいと思っている。こういう五輪2連覇であったり、みなさまの評価というか、そういった結果をいただけたからこそできることって絶対にあると思うので、僕にしかできないこと、僕しか感じてこられなかったこと、僕しか学べなかったことを伝えていけるような存在になりたい」

 ―あらためて、授与が決まった時、どんな気持ちだったか。

 「まず、大変恐縮な気持ちが多くあった。ただ、国民栄誉賞をいただけると聞いた時に、やはり自分は、自分の報道とか自分の結果とかスケートとか、そういったものを通してみなさまの力がみなさまに還元されているんだなというふうに思えたので、そういった意味でも今回の明るいニュースがみなさまにとって明るい光になっていたら嬉しいなと思ったし、そういう存在にこれからもならなくてはいけないとあらためて思った。だからこそ、言葉で表すのはすごく難しいけど、1人の人間としてだけじゃなくて、1つの存在として、羽生結弦っていう存在として、みなさまの力が僕に注がれていて、その力がみなさまにまた巡っていってということになるためには、その期待に応えなくてはいけない。そして、その期待に応えられるだけの努力、技術、芸術を持っていなくてはいけないというふうに強く思っているので、これからさらに身を引き締めて頑張っていきたいなと思っている。ありがとうございました」

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