至学館大 栄監督“ランチ解任”「反省できていないと思わざるを得なかった」

[ 2018年6月18日 05:30 ]

レスリング全日本選抜選手権・最終日 ( 2018年6月17日    東京・駒沢体育館 )

栄和人氏の監督解任を発表する至学館大・谷岡学長(撮影・会津 智海)
Photo By スポニチ

 至学館大の谷岡郁子学長(64)が競技終了後に緊急会見を行い、同大レスリング部の栄和人監督(57)の解任を発表した。大会中に選手のセコンドにもつかずに友人とランチに出かけたことを問題視。パワハラ認定を受けてもなお再起のチャンスを与えようとしていたが、監督不適格の烙印(らくいん)を押した。後任には同大副学長でコーチ兼任の吉田沙保里(35)らを候補に挙げた。

 栄氏には取り返しがつかないほど高くついたランチとなった。大会初日の14日に、栄氏はパワハラ問題発覚後、初めて公の場に現れて謝罪会見をして再出発を誓ったばかりだった。しかしその直後の無分別な行動が谷岡学長の逆鱗(げきりん)に触れた。

 「期待外れでまだ分かっていない。反省できていないと思わざるを得なかった」。谷岡学長は当初、今大会で栄氏にセコンドにつくよう求めていたという。「監督と選手の共同での再出発」のためにという判断だったが、栄氏はこれを断ってスタンド観戦した。

 まだ通院中とあって体調面の不安であれば谷岡学長も理解できた。ところが初日、2日目とも至学館大と関係のない友人と試合中に昼食に出かけ、芸能人と並んで観戦した時もあった。試合間のインターバルとはいえ「友人とごはんにいく元気があるなら、選手たちについていてほしかった」。職務放棄ともいえる行動に、栄監督を信頼し続けてきた谷岡学長もさじを投げた。

 その日の夜に謹慎処分を言い渡し、自宅のある名古屋に帰らせた。関係者と協議し、16日には本人に解任を伝えた。栄氏は「申し訳ありませんでした」と答えたという。コーチを務める吉田沙保里は決断に「仕方がない」と話したといい、現役選手からも大会中の態度には「監督は本当に反省しているの?」と疑問の声が上がったという。

 それでも至学館勢は女子8階級中6階級を制覇。皮肉にも監督不在の影響を感じさせなかった教え子たちの強さも解任を後押しし、今後は吉田らが中心となって新たなチームづくりを進めることになりそうだ。

 <世界女王・須崎3連覇> 女子50キロ級では世界女王の須崎が3連覇を飾った。「失うものは何もない。リベンジして優勝したかった」と、リオ五輪金の登坂を下して勝ち上がってきた入江に4―1で勝利。昨年の全日本選手権で敗れた雪辱を果たし、来月7日の世界選手権代表プレーオフに生き残った。プレーオフも入江との再戦になるだけに「もっと厳しい戦いになる」と気を引き締めた。

続きを表示

この記事のフォト

2018年6月18日のニュース