張本 大金星3連発V!14歳ラスト締め 東京五輪戴冠へ進撃

[ 2018年6月11日 05:30 ]

卓球 荻村杯ジャパン・オープン最終日 ( 2018年6月10日    福岡・北九州市立総合体育館 )

荻村杯ジャパン・オープン最終日 男子シングルス決勝、第5ゲーム、得点を奪いガッツポーズを見せ吠える張本(撮影・会津 智海)
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 大物食い3連発で天才少年が頂点に立った。男子シングルスで世界ランク10位の張本智和(エリートアカデミー)が、準決勝で同8位の17年世界選手権銅メダリスト・李尚洙(27=韓国)に4―2、決勝では12年ロンドン五輪金メダリストの張継科(30=中国)を4―3で撃破した。前日(9日)に16年リオデジャネイロ五輪王者の馬龍(29=中国)を下した勢いで14歳ラスト大会を締めくくり、20年東京五輪での戴冠へまた前進した。

 戴冠のアクションに2つの意味が込められていた。フルゲームの激戦を制した張本が、殊勲の汗が光るコートにうつぶせになった。「本当に疲れていたので、自分に“お疲れさま”という気持ちで倒れ込んだ」。自身へのねぎらいと、驚きが入り交じっていた。「本当に優勝したんだって実感がなくて、ビックリして倒れ込んだ」。大歓声の中で立ち上がると、ようやく優勝の喜びが湧いてきた。

 「組み合わせを見た時、優勝なんて一回も考えていなかった。うれしい」

 9日の準々決勝は「嫌いな色」という黄色のユニホームで馬龍を撃破。「これ以上いい色はない」。験を担ぎ李尚洙との準決勝、張継科との決勝も黄色の戦闘服に身を包んだ。先週の中国オープンでは張継科に4―0と完勝したが、この日はフォアに翻ろうされ、2ゲーム先取された。何とか盛り返し、最終第7ゲームはジュースに突入。11―11から相手サーブを読み切りフォア一発でマッチポイントを握ると、最後は張本のサーブが決まって逆転劇が完成した。

 「ジュースで何度も心が折れかけたけど、観客のみなさんがついていると思って頑張れた」

 大舞台での悔しさをワールドツアーで唯一日本開催の今大会にぶつけた。5月の世界選手権団体戦は期待に応えられず、6大会ぶりにメダルを逃した責任を背負い込んだ。連続失点すると弱気な表情を浮かべることがあったが、「こんなことしていたら嫌だ」と弱い自分と決別。今大会、何度も「チョレイ!」と叫んで自身を鼓舞するだけでなく鬼気迫る表情で難敵に立ち向かい、打ち破った。

 27日に誕生日を迎える。14歳のこの一年、ワールドツアーのチェコ・オープンと全日本選手権を史上最年少で制し、荻村杯優勝で締めくくった。「3つ優勝できて、そこは成長できたかな」。来月の韓国オープンからは15歳の戦いが始まる。「出場するワールドツアーを全部優勝して、来年の世界選手権のシングルスで金メダルを獲りたい」。19年に世界一、そして20年東京五輪でも頂点へ。張本の視界には、黄金ロードがはっきりと映っている。

 【張本 強敵討ちアラカルト】

 ★チェコ・オープン決勝(17年8月27日) 元世界1位(当時7位)のティモ・ボル(ドイツ)を4―2で破り、14歳61日で男女を通じてワールドツアー史上最年少優勝記録を達成。

 ★アジア杯1次リーグ(18年4月6日) 世界1位の樊振東(中国)に3―1で勝利。初めて中国選手から白星を挙げる。

 ★中国オープン1回戦(6月1日) 12年ロンドン五輪金メダルで、当時世界168位の張継科(中国)を4―0で撃破。

 ★荻村杯ジャパンオープン準々決勝(6月9日) 世界2位で16年リオ五輪金メダルの馬龍(中国)を4―2で下す。

 ★同準決勝&決勝(6月10日) 準決勝では昨年の世界選手権銅メダルで世界8位の李尚洙(韓国)を4―2で撃破。決勝ではロンドン五輪王者(現在世界102位)の張継科に4―3で勝利。

 ▽荻村杯ジャパンオープン 国内唯一のITTF(国際卓球連盟)ワールドツアー。89年にスタートし、95年からITTF会長を務めた荻村伊智朗氏の功績を称えて「荻村杯」の冠がつく。賞金総額22万ドル(約2420万円)。シングルス優勝賞金は2万5000ドル(約275万円)。

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