日大選手会見 代理人弁護士の冒頭説明の全文「部からの聞き取りがないのはおかしいと…」

[ 2018年5月22日 15:30 ]

会見には多くの報道陣が集まる(撮影・小海途 良幹)
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 ご本人、ご本人のご両親から本件のさまざまな折衝、問題についての依頼を受けております弁護士の西畠正と、薬師寺孝亮です。2人で担当させていただいております。

 冒頭ですが、このような形でご本人がいわゆる顔出し、容姿の撮影をあえて受けて撮影を行うのは、異例かと思います。20歳を過ぎたばかりのいわば未成年に近いような方が顔を出すことについてのリスクというのは私どもも承知もしておりますし、ご両親、ご本人にもお話をいたしました。しかし、ご両親、ご本人とも、この会見が事実についてつまびらかにするだけではなく、むしろ被害者、被害選手とそのご家族、それから関西学院大学アメリカンフットボールチームに対する謝罪の意味が強いというとらえ方をしていますので、ひと言でいうと顔を出さない謝罪はないだろうと、顔を出さなくて何が謝罪だということを考えて、あえて撮影を受けることにいたしました。氏名についてもあえて秘匿にするまでもないということをおっしゃっています。しかし、私ども代理人としては、長い将来がある若者です。この先、どのような不測の事態があるとも限りませんし、被害を被らないとも限りません。そういうことにぜひご配慮いただいて、できればずっとアップで撮るようなことは避けていただいて格別のご配慮をいただければと、冒頭にこれを申し上げたいと思います。

 私の方からは、この会見の趣旨とこの会見に至った経緯を簡単にご説明します。この会見は、今年5月6日に行われました日大アメフト部と関学アメフト部との第51回定期戦において、日大チームの当該選手の行った反則行為によって、関学大チームのクオーターバックが負傷した件について、当該選手に対して監督、コーチからその反則行為の指示があったことを明らかにし、その具体的対応について説明するのが目的の1つです。関係者、特に被害選手とそのご家族に対する謝罪の第一歩でもあるというとらえ方でこの会見をあえて開かせていただきました。これから先の呼び名ですが、私の方からはご本人を、本人ないしは当該選手と呼ばせていただきます。それから大変失礼とは存じますが、関西学院大学アメリカンフットボール部のことを関学大アメフト部、それから日本大学アメリカンフットボールチームのことを日大アメフト部と略称とすることをご容赦ください。

 本件に至った経緯を説明いたします。6日以降で大きな動きがあったのは、10日でした。10日に関学大アメフトチームから日大アメフト部に対して申し出文書が出されました。これを受けて本人とご両親は監督を訪ねました。実はこの時まで監督、コーチとチームメートと会ったのは、本件の2日後、グラウンドに行って話をしたのが最初です。この5月11日はいわば監督と会う2回目でした。この時、本人とご両親は監督に対して、個人として直接謝罪をしたいということを申し上げたのですが、監督からはそれを止められました。具体的な話は後でご本人が申し上げます。この時、事実関係についても監督からもコーチからも質問が一切ありませんでした。なぜ君はああいうことをやったのかという理由の説明を求めるというようなことは一切ございません。あえていえば今まで1度として上の方から求められたことはございません。

 5月12日、本人とコーチが関学大に謝罪にまいりましたが、申し入れ文書に対する回答がない限りは謝罪を受けられないということで断られております。5月14日、月曜日ですが、本人と父親がOBから呼び出されて日大のある校舎にまいりました。この時、呼び出されてお話をしたのですが、学生連盟の規律委員会から事情を聴きたいという申し出がありまして、そこに本人とお父さんがうかがいました。ここで規律委員会には、これから本人が申し上げる事実の経過をかなり詳しくお話をしております。事実経過についてお話をしたのは、この5月14日の19時以降が最初であります。

 15日になって、お父さんが私のところに相談にお見えになりました。私が関与したのは、この時が初めてです。お父さんがお見えになったのは15日に関学大の申し入れ書に対する日大側の回答書が出た、これを受けてお父さんとしては個別にでも謝罪をしたいのだけれども、それが認められていない、それから事実について報道を見る限りは、監督、コーチからの指示があったということは否定されている、あまつさえ本人が指示がなかったと否定しているというような報道までありました。そういうものをご覧になって、このままでは事実が明らかにならない、本人が勝手に突っ込んでケガをさせたということになってしまうということと、謝罪そのものが認められないのは納得がいかないということで、この2つを主として早めに実現したいということで私のところに相談にまいりました。

 翌日、私は本人から薬師寺弁護士と2人で、詳細な事実の聞き取りをやりました。この日、大学本部からは呼び出しがあって、お父さんにはOBから呼び出しがありましたけれども、これはいずれも断りました。大学なり部からの申し出を断ったのは、この時が初めてであり、今までにそのほかに断ったことはございません。断る作業は私の方でやりました。そうしたところ、大学に連絡した私のところに翌日に事情聴取に来てほしい、という申し出が大学の総務部からありました。翌日5月17日の午前中に本人とお父さんと私でうかがって事情聴取に応じました。これが大学側の事情聴取に応じて事実を説明した最初でございます。

 確認しましたが、これは部としての聞き取りではないということを明確におっしゃっておりました。大学と部は違う団体、組織であるということで、あくまで大学としてお聞きしたいということでありました。もう1つ申し上げるのを忘れておりましたが、この聞き取りの際に私とお父さんから個人としてでも被害選手とそのご家族にぜひ謝罪に行きたいということを再度申し上げました。これは止められても、こちらの判断で行くことがありますよということを申し上げました。

 しかし、この17日の時点で、関学大の方の記者会見が行われました。そこでやはりあくまで監督、コーチへの謝罪を求めるという関学大の意向が伝わってきました。それをお聞きしまして、何よりも監督、コーチよりも前に加害選手として当該選手が謝罪すべきではないかという判断をいたしまして、この日の夕方、関学大の窓口になるディレクターに私の方で連絡を取り、謝罪を受け入れていただきたいと、あくまで大学とは別に、個人として謝罪したいということを申し上げました。その後、明日にでも大丈夫ですよという連絡をいただいて翌日、本人とご両親が大阪にうかがって被害選手とそのご両親、それから後から入られたんですが、関学大チームのディレクターとお会いして謝罪をさせていただきました。約1時間だったと聞いております。

 代理人宛てにこの日に大学本部から21日に本人から聞き取りをしたいという申し入れがありましてお受けしました。5月の20日、規律委員会から再度、ヒアリングをしたいという申し入れがあって、私とお父さんと本人が行って詳しい説明をもう一度しました。そして、昨日ですが、大学本部から事情聴取を受けました。この時もあくまで部としての説明ではないと、部としての聞き取りではないということを確認いたしました。ただ大学の聞き取りの結果は部には伝えますとおっしゃっていましたので、どうぞというふうに申し上げました。

 この時、私の方から部からの聞き取りがないのはおかしいのではないかということを申し上げました。それは、5月15日付の関学大に対する回答書と、報道機関に対する日大アメフト部からの文書に、いずれも指導者の指導と本人の理解との間に乖離があると書かれていながら、本人に1度も部としての確認がない、これはおかしいのではないか。そして、報道機関宛ての5月17日付の文書には、本人への聞き取りを含めて24日までにそれを終えて回答を再度いたしますと書いてあるのに、21日の時点でまだ何もない。これは恐らく部としての聞き取りをやらないであろうという判断をいたしまして、あえて急きょこの会見を設けさせていただいたという次第です。以上が経過ですが、あくまでこの会見はご本人とご両親からの被害選手たち、関係者、被害選手のご両親と関係者、そして関学大チームに対する謝罪を前提とした事実の説明でございます。内容については、反則行為については指示があったということを明確に申し上げるつもりです。以上で私からの説明を終わらせていただきます。

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