稀勢休場…横綱最長7場所連続記録に並ぶも貴親方「焦るな」

[ 2018年5月12日 05:30 ]

取組編成会議後、取材に応じる貴乃花親方
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 横綱・稀勢の里(31=田子ノ浦部屋)が夏場所(13日初日、両国国技館)を左大胸筋痛で休場することが11日、正式決定した。日本相撲協会に「左大胸筋痛で約1カ月激しい運動を制限する」との診断書を提出した。昨年夏場所から7場所連続休場で、年6場所となった1958年以降では貴乃花と並んで横綱の最長連続休場となった。

 取組編成会議当日まで出否の判断を持ち越した稀勢の里だが、出場には踏み切れなかった。この日朝に師匠の田子ノ浦親方(元幕内・隆の鶴)と話し合って休場を決断。師匠は「責任感が強い男なので出るつもりで稽古してきたが、思うような相撲が取れなかった。本人も苦渋の決断だった。もう一度強い横綱として出てくれるように(一緒に)頑張っていきたい」と涙を浮かべながら説明した。

 左大胸筋は新横綱優勝を果たした昨年春場所で痛めた。その後、4度にわたり本場所の土俵に上がったが、いずれも途中休場。結果、1年2カ月たっても患部は回復していない。今場所全休となると、在位8場所の成績は26勝22敗72休と最高位の威厳とは程遠い。横綱審議委員会の北村正任委員長(毎日新聞社名誉顧問)は「体調不十分であればやむを得ない。覚悟を持って次場所に備えてほしい」とコメント。7月の名古屋場所で進退を問う可能性を示唆した。

 稀勢の里同様、16年前に7場所連続休場を経験した貴乃花親方(元横綱)は稀勢の里に助言を送った。「(ケガを)十分に治した方がいい。焦らないこと。できるだけ万全にして出た方がいい」と心構えを説いた。自身は01年夏場所で右膝半月板を負傷し、横審から出場勧告が出るまで休み続けた。その間、懸命な稽古を続け、02年秋場所の12勝につなげた。稀勢の里が復帰するために何が重要か問われると「体を動かすしかない」と語った。

 稀勢の里は途中休場した初場所中に、次に出場する場所に進退を懸けると明言した。田子ノ浦親方は「次は大事な場所。稽古もいろんな面で考え直し、必死にやると本人も言っている」と和製横綱の不退転の決意を代弁した。稀勢の里にとっては初の2場所連続全休。いよいよ後のない状況に追い込まれた。

 ▼八角理事長(元横綱・北勝海)休場は残念。体調が思わしくなさそうなので、場所に出る以上は体調を万全に整えてから出場してほしい。

 ▽貴乃花の7場所連続休場 2001年夏場所、14日目の大関・武双山戦で初黒星を喫した際に右膝半月板損傷の大ケガを負った。それでも休場せず、千秋楽は本割で横綱・武蔵丸に敗れたが、13勝2敗で並んだ武蔵丸との優勝決定戦で上手投げを決め、22度目の優勝を飾った。続く名古屋場所は全休。場所後にフランスで半月板の除去手術を受けたが、簡単には回復せず、全休は02年名古屋場所まで続いた。

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