美誠 銀メダルに悔しさと自信、五輪へ「絶対に中国を倒す」

[ 2018年5月7日 05:30 ]

卓球 世界選手権団体戦最終日 ( 2018年5月6日    スウェーデン・ハルムスタード )

銀メダルを手に笑顔の(左から)石川、平野、伊藤、早田、長崎
Photo By 共同

 打倒・中国へ光が差した。女子決勝で日本は1―3で中国に敗れて銀メダル。71年名古屋大会以来、47年ぶりの世界一には届かなかったが、第1試合で世界ランク7位の伊藤美誠(17=スターツ)が、元世界1位の劉詩ブン(27)をフルゲームの末に撃破。1月の全日本で3冠を達成した17歳が、今大会8戦全勝と輝きを放った。なお、男子決勝は中国がドイツを3―0で下し、9連覇を達成した。

 表彰式で銀メダルを受け取ると、日本の選手に笑みが浮かぶ。だが、心の底からのスマイルではなかった。中国を倒しての金メダルを本気で目指していたから。第1試合の伊藤は、14年アジア大会の福原愛以来となる団体の中国戦での勝利を挙げた。「凄く自信になった」と話したが、「今度は日本が絶対に中国を倒すという気持ちでやりたい」と満足感とは無縁だった。

 日本勢と、この日の中国との対戦成績は劉詩ブン1勝38敗、丁寧3勝51敗、朱雨玲2勝50敗。天敵の劉詩ブンを、伊藤がフルゲームで撃破した。最終第5ゲーム、1―5から劉詩ブンがチャンスボールをスマッシュしたが、奇跡的な反応でポイントを奪った。「あの1本がなかったら、ほぼほぼ負けていた」。8―10とマッチポイントを握られても追い上げた。11―10と逆転すると笑みを浮かべ、一気に仕留めた。

 ラケットを忘れた海外遠征で、「誰かのを使えばいいや」と開き直り、コーチから借りて優勝したことがある。試合中に新たなプレーをひらめき、そのまま勝つ。卓球センスの塊だが、昨年はフットワーク強化などの練習に励んだ。天才が地味な汗を流し、今年1月の全日本選手権ではシングルス、ダブルス、混合ダブルスの3冠。今大会も日本勢で唯一負けなしの8戦全勝と存在感を示した。

 中国選手への思いも、キャリアを重ねるごとに変化してきた。「前は負けてもしょうがないって気持ちがあったけど今は負けたらめちゃくちゃ悔しい。絶対に勝ちにいくという気持ちで臨んだら、成功した。また勝てるようにしていきたい」。確かな技術と燃える心で、20年東京五輪でのリベンジを実現する。

 ≪ポイントで代表決定≫東京五輪のシングルス代表は、20年1月の世界ランク上位2人となる見通し。同年1月のランクは19年1月からの国際大会の成績で決まるが、世界選手権の成績は2年有効となるため、今大会の結果も影響してくる。伊藤は8勝で2000点を獲得し、ワールドツアー「レギュラー」の優勝1800点を超えるポイントを稼いだ。石川は7勝で1750点、平野は6勝で1500点。世界ランクは成績上位の年間8大会のポイント合計で決まる。

続きを表示

この記事のフォト

2018年5月7日のニュース