飛び込み一家の秘蔵っ子 金戸凜「1・8秒」に青春懸ける14歳

[ 2018年4月24日 09:30 ]

プールサイドで並び笑顔を見せる金戸凜(右)と加藤綾子
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 【カトパン突撃!東京五輪伝説の胎動】「1・8秒」に青春を懸ける少女がいる。女子飛び込みの金戸凜(東京・日出中3年)は祖父母、両親がオリンピアンで、姉兄も国内トップクラスという飛び込み一家の秘蔵っ子。昨年の国際大会派遣選手選考会で史上最年少Vを飾るなど実力も折り紙付きだ。親子3代の五輪出場、そして日本勢初のメダル獲得を目指す14歳の素顔に、フリーアナウンサーの加藤綾子(33)が迫った。

 ――リオ五輪代表も出場した昨年の大会でシニア初優勝。史上最年少での快挙でしたね。

 「ジュニアとはレベルが違うので自信になりました」

 ――シニアの高飛び込みは10メートルの高さから。怖さはないですか。

 「まだ少し怖いです。入水時の衝撃も強いですし、空中での時間が長く感じます」

 ――演技はわずか数秒間ですよね。

 「2秒ないです。1・8秒くらい」

 ――そんな一瞬の演技中も、周りの景色は見てるんですか。

 「はい、目を開いて見ています」

 ――でも、ぐるんぐるん回ってますよね(笑い)。

 「あまりはっきりとは見えないですけど(笑い)。自分が入る水面を見て、入る瞬間は目を閉じます」

 ――ケガをすることはありますか。

 「結構あります。手のひらを下にして両手を組んで入水するんですが、手が水の抵抗に負けてしまって手首を痛めるとか」

 ――えっ!?両手を組んでいるんですか。

 「それで入水と同時に、水を両手でかくようにします」

 ――進む道をつくるみたいに?

 「はい、水しぶきをなくすんです」

 ――両手は指を真っすぐ伸ばしていると思ってました。

 「突き指しちゃいそうですね(笑い)」

 ――飛び込みを始めたのは小学1年からですか?

 「飛び込みプールは小1からしか入れないんですよ」

 ――家族全員が同じ競技をしている環境で自然の流れでしたか?

 「小さいころからプールの端で遊んでいて、気づいたら選手になっていたという感じです(笑い)」

 ――最初は怖いと思いますが。

 「1メートルの飛び板から始めるんですが、楽しくて怖さというのはなかったです」

 ――今までやめたいと思ったことは?

 「ないです。練習が嫌だなという時はあるけど、ほかにすることないし(笑い)」

 ――ほかの競技をやってみたい気持ちは?

 「小さいころクラシックバレエをやっていて、久しぶりにトーシューズを履いてみたいなと思ったりするんですけど、やっぱり飛び込みが一番好き」

 ――バレエ経験のおかげか、足首が凄く柔らかいそうですね。

 「足の甲から曲がるんですよ」

 ――うわっ!凄く曲がりますね。飛び込み選手でもこれほど柔らかいのは珍しい?

 「そうだと思います。家族も全員が柔らかいわけではないので」

 ――それが演技にも生きてますか?

 「飛び込みは爪先が最後に水に入るので、真っすぐ伸びていると採点の印象が変わると思います」

 ――競技を続ける上で、やはり家族の存在は大きいですか?

 「親とかが飛び込みをしていなかったら、自分もやっていなかっただろうし、感謝しています」

 ――もちろんアドバイスも。

 「よくお母さんに相談します。体が思うように動かないときとか。そうするとお母さんの時はこうだったよ、とか話をしてくれる」

 ――世界レベルの経験談は心強いですね。

 「大丈夫なんだと安心します」

 ――逆に五輪選手ぞろいの家族がプレッシャーになったりは?

 「よく三代目って言われますが、あまり気にしない。家族がオリンピックに出たからといって自分も出られるわけではないので、頑張っていきたい」

 ――練習は毎日?

 「学校がある日は、終わったらそのまま練習に行って2、3時間くらい」

 ――現在は「有望アスリート海外強化支援選手」(※)として、シドニー(豪州)が拠点ですよね。

 「一年の3分の1くらいはシドニーです。次は5月に1カ月くらい行きます」

 ――シドニーでの練習はいかがですか?

 「オリンピックに出た選手もいて、刺激になります」

 ――中学との両立は大変そうですね。

 「なかなか学校に行けないので、勉強が追いつかなくて。友達には学校に行くたびに“久しぶり”って言われます(笑い)」

 ――そんな忙しい毎日の息抜きは?

 「音楽をいろいろ聴くのが好きです。あとインスタグラムはめっちゃ見ます」

 ――投稿しますか。

 「たまに。自分の好きな写真とかあったら載せます」

 ――へえ、私もやってみようかな。

 「インスタはいいですよ!楽しいです(笑い)」

 ――東京五輪まであと2年です。

 「まだ2年後とか想像できないんですけど、自分にとって一番近いオリンピックだし、地元開催は凄くうれしい。絶対に逃さないようにしたい」

 ――きょうだい3人で出たい?

 「3人それぞれオリンピックに出たいと思っているんで、かなったらうれしいです」

 ――おじいさん、おばあさんが出場した東京五輪ですし、家族みんなの願いですよね。

 「飛び込みで日本人はメダルを獲ったことがないので、第1号になって家族にメダルを順番にかけてあげたいです」

 ――メダルの色は?

 「やっばり一番いい色を」

 ――名前も“金”戸さんですしね。

 「はい!(笑い)」

 (※)有望アスリート海外強化支援 日本スポーツ振興センターが2020年、24年の五輪・パラリンピックで活躍が期待されるトップクラスの若手選手を選定、海外での強化活動を支援する。

 ◆金戸 凜(かねと・りん)2003年(平15)7月18日生まれ、埼玉県出身の14歳。小学1年から競技を始め、小学5年の14年8月に「全国少年少女水泳競技大会」女子飛び込みで初優勝。15年のアジアエージグループ選手権で飛び板2種目と高飛び込みで3冠。17年の日本室内選手権3メートル飛び板優勝。セントラルスポーツ所属。身長1メートル50。

 ▼飛び込み競技 飛び板飛び込み(1メートル、3メートル)と高飛び込み(5メートル、7・5メートル、10メートル)がある。リオ五輪では男女とも3メートル板飛び込み、同シンクロ、10メートル高飛び込み、同シンクロが実施された。男子は6回、女子は5回の試技で、全て違う演技を行い合計点を競う。水しぶきを上げない入水は点数が高い。前飛びや後ろ飛びなど飛び出し方は6種類。空中フォームは伸び型、えび型など4つあり、組み合わせて競技に臨む。

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