【砂村光信の目】サンウルブズの敗戦はチーム成熟度の差 ワラタスは途中で戦術変更

[ 2018年4月7日 20:24 ]

スーパーラグビー第8節   サンウルブズ29―50ワラタス ( 2018年4月7日    秩父宮 )

<サンウルブズ・ワラタス>ワラタスに敗れ、肩を落とすサンウルブズ・フィフティーン
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 【砂村光信の目】サンウルブズのジョセフ・ヘッドコーチは、14にものぼった攻撃時のターンオーバーを失点の原因に挙げていた。だが、パスミスやノックオンが多かったのは、ワラタスが途中で速いディフェンスに切り替えたのも一因だ。

 この日はオーストラリア人レフェリーが密集での反則を厳しく取っていたこともあり、ワラタスはフーパー主将らが得意とするブレークダウン(タックル後のボール争奪戦)でのターンオーバー狙いを途中でやめていた。ブレークダウンが互角以上だったためサンウルブズは速いボール出しからアタックを続けたが、相手のラインディフェンスは外へ行くほど上がりが速く、最もプレッシャーがきつくなるアウトサイドCTBのところでミスが起きていた。試合途中で戦い方を変えてみせたワラタスと、一度決めた戦法を貫こうとしたサンウルブズのチーム成熟度の差が出た試合と言える。

 ワラタスはサンウルブズのキックへの対策も立てていた。速いディフェンスに対しては裏の空いたスペースへ蹴ることで相手を下げることができるが、田村は浅い位置を狙うキックを蹴られず、キックパスもほとんど使えなかった。トイ面のSOフォーリーが一度外へ開いてからプレッシャーをかけてきたためで、田村は止まってから真っすぐ深めのキックを蹴るしかなく、相手にボールを渡す結果となっていた。

 サンウルブズではSH流のボールさばきも気になった。密集から持ち出すと独特のタメをつくってからパスするが、ワラタスはそのタイミングを読んでプレッシャーをかけていた。これがベテランの田中なら3つぐらいパスを放るリズムを持っているが、流はリズムがほぼ同じで読まれやすかった。

 流が所属するサントリーでは、このタメの間にFWがフラットな位置へ走り込んでパスを受ける動きをする。バックスは逆に深い位置から走り込むため、パスをもらう際にスピードが落ちないし、相手もどちらに攻めてくるか読みにくい。だが、サンウルブズではFWが連動した動きになっていないため、相手も判断しやすくなっている。

 サンウルブズの得点能力と今季のスーパーラグビー全体のスコアを考えると、30点以上を取ったチームはほぼ勝っている。次戦で対戦するブルースはワラタスほど得点力は高くない。サンウルブズはディフェンスも大事だが、得点力でブルースを上回り、今季初勝利を挙げたい。(元U―23日本代表監督)

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2018年4月7日のニュース