張本 世界1位撃破!シニア大会で初「100%以上の力出せた」

[ 2018年4月7日 05:30 ]

卓球アジア・カップ第1日 ( 2018年4月6日    横浜文化体育館 )

卓球アジア杯第1日 男子1次リーグで樊振東(奥)からポイントを奪い、ガッツポーズの張本
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 男子シングルス1次リーグA組で、世界ランク13位の張本智和(14=エリートアカデミー)が大金星を挙げた。同1位の樊振東(21=中国)に3―1で勝利。初めてシニアの大会で中国選手を撃破し、初めて現世界No・1を下した。1次リーグ3戦全勝で、7日の準々決勝に進出。日本勢として89年の斎藤清以来、29年ぶりの頂点へ一気に駆け上がる。

 大金星を射止めた瞬間だけは、「チョレイ!」の雄叫びはなかった。「素晴らしい選手に勝った時は声が出ない。何も考えられない」。張本にとって、水谷と並んで憧れの存在である世界1位の樊振東を3―1で撃破。「本当に信じられない。格上相手に100%以上の力が出せた」。衝撃のシーンを見届けた観衆からの拍手を浴び、14歳は放心状態で両手を広げた。

 ゲラシメンコ(カザフスタン)との1次リーグ初戦は勝ったものの、精彩を欠いた。樊振東との大一番を前に、日本男子の倉嶋監督は強い口調で鼓舞。「長所を最大限に生かしてプレーしろ!」。張本の最大の武器はバックハンド。バックの打ち合いで世界1位を圧倒すると、最後もバックのブロックに樊振東が反応できず。「あのブロックが今日の試合を物語っていた」と張本は胸を張った。

 1月の全日本選手権を史上最年少で制したが、その後は試練が待ち受けていた。2月に風邪をひき、3月には脚に痛みも出た。国内大会で水谷に敗れ、カタール・オープンで8強、ドイツ・オープンはまさかの1回戦敗退。「全日本優勝のプライドをほぼ捨てた」と悲そう感すら漂わせて今大会に臨んでいた。順風とは言い難い中での世界1位撃破に、「急に勝つから驚いた。世界No・1のバックハンドだなと思った」と倉嶋監督は称賛した。

 1次リーグ3戦全勝で準々決勝に進出。斎藤清以来、29年ぶりの大会制覇はもちろん、最大目標の20年東京五輪に向けても大きな手応えを得た。「フォアハンドも強くなれば自分でもどうなるんだろうと思う。東京五輪で金メダルを獲れる自信がついてきた」。中学3年生になったばかりの天才少年には、限界なんて存在しない。

 ▽張本の対中国選手 過去、年代別の大会では中国選手に勝ったことがあったが、シニアのシングルスでは6戦目で初勝利。また、張本は17年のチェコ・オープンで元世界1位のボル(ドイツ)を下しているが、現役1位から白星を挙げるのも初めて。なお、日本男子が世界1位に勝つのは12年4月に丹羽孝希が馬龍(中国)を破って以来、6年ぶり。

 ▽アジア・カップ 国際連盟とアジア連合が主催し、83年に第1回大会が行われた。今年は前年優勝選手やアジア選手権の優勝選手、18年1月の世界ランク上位10人らアジアのトップクラスが出場。日本勢では89年に男子で斎藤清が優勝しているが、女子はまだ優勝していない。

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