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急げホタレク! ミラノ世界フィギュア激写日記(2)

<世界フィギュア女子フリー>ミラノで観客のハートをつかんだ樋口新葉選手。カッコよかった!撮影・長久保 豊)
Photo By スポニチ

 【長久保豊の撮ってもいい?話】日の丸に抱かれた彼女たちの視線をもらおうと必死に声を出していた。隣のイタリア人カメラマンも「お前、彼女たちの仲間だろ。何とかしろよ」と目で訴えてくる。「宮原さ〜ん」でダメ、「新葉ちゃ〜ん」でもダメ。こうなったら通ぶって「さっとん」と呼んでやろう。だが、いきなりかんだ。

 「さっち〜ん」。やっと視線が来た。結果オーライである。

 女子フリー。

 樋口新葉が演じるジェームス・ボンドは美しく妖しくカッコよく、人生の楽しみ方を知っているこの国の観客の心を鷲づかみにした。立ち上がり、ヒューヒューと声を上げさせた。彼女は両手を突き上げ号泣。一度だけ顔を覆ったが、後は涙を拭うこともせず歓声に身を委ねた。キス&クライで「新葉ちゃん、こっち」という声に答えて笑顔を見せてくれたが得点が出ると再び大粒の涙がホオを伝った。

 宮原知子は演技をフィニッシュすると胸の前で手を重ね合わせお辞儀をするような仕草を見せた。それはケガで始まったシーズンを支えてくれた周囲、ファンへのメッセージ。キス&クライでは小さなハートを作りながら「ありがとうございます」とつぶやいた。

 この時点で2位・樋口、3位・宮原。まさかこのまま終わるとは思ってもみなかった。

 続くザギトワの転倒に場内は凍りつき、伸びを欠いたコストナーの滑りに嘆息がもれた。

 誰れもが傷つき、心身ともに疲れが残った状態でのぞむシーズン最終戦。それはまさしくぎりぎりの戦い、断崖の先端でダンスを踊るようなもの。ザギトワやコストナーも例外ではなかった。そして後には日本の小さくて可憐な花が2つ咲いた。強い風に叩きつけられても決して折れない、しなやかで強い茎を持った花。そんな詩人になっていた私はフォトセッションの撮影位置争奪戦に敗れ冒頭の大声を出すはめになったのだが。

 エキシビション。

 スポットライトの光の中で彼女たちは素敵に舞い、笑った。エンディングでは舞い降りた紙テープの量が多すぎて2人のスケートにまとわり付いた。

 自撮り職人・ミーシャー・ジーが作る輪に加わろうとして、2人はよろけ合い、支え合い、笑い合った。小さな2人にとってスタートの遅れは致命的でベストな位置はキープできなかったが最後のシャッターには間に合った。

 ところで私は自撮りの輪の中に1人の男を探していた。いつも羽生結弦選手をリフトするために背中を向ける彼である。この日は正面から撮りたかったのだが見つからない。ミーシャや他の選手が写真の出来栄えを確認しているころになってやっと彼がファインダーの左隅に現れた。紙テープを体に巻きつけて遊んでいたようだ。ホタレク、写真嫌いなの?(写真部長)

◆長久保豊(ながくぼ・ゆたか)1962年2月生まれ。いつかは「ツボミは血がにじんだように赤く汗の匂いがする清らかな白い花(細うで繁盛記より)」を咲かせたいと願う56歳。

[ 2018年4月2日 09:30 ]

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