大坂 セリーナも撃破、日本勢初 女王討ち6人目「うれしい」

[ 2018年3月23日 05:30 ]

テニス マイアミ・オープン ( 2018年3月21日    米フロリダ州マイアミ )

マイアミOP女子シングルス1回戦で、S・ウィリアムズを破った大坂
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 女子シングルスでBNPパリバ・オープンでツアー初優勝を果たした大坂なおみ(20=日清食品)が、憧れの存在を撃破した。1回戦で、初対戦となった元世界ランキング1位で現在491位のセリーナ・ウィリアムズ(36=米国)に6―3、6―2で快勝。日本勢10度目の挑戦で初めてセットを奪うどころかストレート勝ちの快挙。4大大会通算23度優勝のS・ウィリアムズは昨年9月に女児を出産し、今大会がツアー復帰2戦目だった。

 ネットの向こう側に、3歳でテニスを始めた頃からの憧れの存在がいた。センターコートのメインイベントで行われた一戦。最後、フォアをミスしたS・ウィリアムズから手を差し出された大坂は、大歓声の中で確かに聞いた。元世界1位が発した「グッジョブ」というフレーズを。ツアー初制覇を果たしたBNPパリバ・オープンと同じ4大大会に次ぐ大舞台で、20歳が大仕事をやってのけた。

 「大好きな選手との対戦で本当にうれしかったし、夢がかなった気持ち」。第1セットの第2ゲーム。大坂の不安定なサーブに対し、強烈なリターンで重圧をかけられたが、前戦で現世界1位のハレプら強豪を連破し、世界ランクで自己最高22位に浮上した20歳は慌てない。「最初の3ゲームまでは本当に緊張していた」と振り返るが、徐々に本来のプレーを取り戻し、第7ゲームでブレークに成功。第9ゲームでは鋭いバックハンドのショットを相手コートに突き刺し、このセットを奪って波に乗った。

 半年前に出産したばかりのS・ウィリアムズは体を絞りきれていない状態だったが、随所に強打で対抗してきた。大坂は「わあ、これがセリーナのショットね」と驚いたが、2セットを通じて一度もブレークを許さずに1時間17分で完勝。試合中、S・ウィリアムズが「カモン!」と叫ぶ場面もあった。4大大会通算23度優勝の36歳の本気を引き出し、大坂は「“カモン”と言わせることができて本当にうれしい」と笑った。

 会場のフロリダを地元とする2人の戦いは、この大会を8度制している元女王ではなく、新世代の旗手に軍配が上がった。これで現役の世界ランキング1位経験者は10人中6人に勝利。しかも、これまで日本勢が9度挑戦して1セットも奪えなかったS・ウィリアムズの壁をついに打ち破った。「勝てたのはいいプレーができたから」。世代交代の針を進めるようなプレーに、S・ウィリアムズのチームに在籍経験のあるバイン・コーチも「落ち着きが出て2週間前とは違う選手になった」と目を細めた。

 ツアー2大会連続優勝に向けて好発進し、2回戦は第4シードのエリナ・スビトリナ(ウクライナ)と激突。大坂の進撃は、誰にも止められない。

 ▽マイアミ・オープン 前週に大坂が優勝したBNPパリバ・オープンと同じく4大大会に次ぐ規模で、ツアーで年間4大会のみの「プレミアマンダトリー」の格付け。トップ選手が出場する。

 【大坂の世界1位食い】

 ☆アンゲリク・ケルバー 昨年8月29日の全米オープン1回戦で世界ランク45位の大坂は前年覇者で同ランク6位のケルバーを6―3、6―1で撃破。全米前年覇者の初戦敗退は女子で2度目の番狂わせ。

 ☆ビーナス・ウィリアムズ 昨年10月11日の香港オープン2回戦で、世界ランク64位の大坂は同5位のV・ウィリアムズを7―5、6―2で下し8強入り。

☆マリア・シャラポワ 今月7日のBNPパリバ・オープン1回戦で、4大大会5度優勝し、世界ランク41位のシャラポワと初対戦。当時同ランク44位だった大坂は6―4、6―4で勝利。

 ☆カロリナ・プリスコバ 同準々決勝で世界ランク5位のプリスコバに6―2、6―3。16年全米OP準優勝の強豪を圧倒した。

 ☆シモナ・ハレプ 世界ランク1位で第1シードのハレプと準決勝で対戦。大坂は第1セット途中から9ゲームを連取し、6―3、6―0で現役女王を退けた。

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